異世界間リモート会議……のついでに宣戦布告
墓かぶりの王、アルベスの指示にうなずいたこんしまちゃんは今週のしまったポイントを3消費して、3つの異世界の様子を地面に映しなおした。
さらに3ポイントを支払い、この世界の様子を映す画面を3つ作成。
その同じ3つの画面をアルベスに葬送してもらう。
こんしまちゃんは、ほうむられた画面1つにつき10ポイントを追加で払う。
さっきシマッタ王のいる世界に対してやったように、画面の転生先を指定。かつ、画面のまま転生できるように特徴の指定も合わせておこなった。
よってその短時間でこんしまちゃんが消費したこんしまポイントは都合36ポイント。
かなりの出費ではあるけれど、異世界間における情報共有と意思のすり合わせをそれほど重く見たわけだ。
かみしゃま、宇宙使いの魔女、闇のマンガ家が各画面に映し出される。
アングルが調整され、おのおのがアルベスとこんしまちゃんと3つの世界の画面とを視界に収めた。
闇のマンガ家は仕事部屋にいた。
ほかの2人とは違い、ものすごく戸惑っている。
『なになに……っ! 締め切りに追われすぎて頭が変になっちゃった……?』
「オレは墓かぶりの王、アルベス・ウォーグレイブだ」
『え、なにこのイケメン……じゃなかった、あなたはなんですか。というか、ほかにもだれか映ってるし……まるでリモート会議ですね』
とくに、かみしゃまに目を向ける。
『これ、赤いチョウですか。よくできてますねー』
『仮の姿だよ』
羽をパタパタさせ、炎のチョウが答えた。
『なにを隠そうボクはかみしゃまなのさ』
『かみしゃま……? なんか、かわいい名前です』
『――アルベスさま』
宇宙使いの魔女が頭を下げる。
『こうして通信してきたことを鑑みるにあなたの隣のにいるかたは、こんしまポイントの使い手さんですね?』
「そうだ、こんしまちゃんだ」
「魔女さん……元気そうでよかったです」
アルベスのそばでこんしまちゃんがお辞儀をする。
「そちらの世界、今はどんな感じですか……?」
『メーユたちと協力しながら面食いを無力化しています。仮面をつけたみんなとも仲よくできており、今のところ順調と言えるでしょう』
「うれしい知らせです……とりあえずわたしのほうからも近況報告を――」
『待ってください、コンポテさん。あらためて最初から異世界全体の状況を説明してくれませんか』
魔女は闇のマンガ家に視線をやった。
かみしゃまは動揺していないけれど、マンガ家は片手を頭にやって首をかしげている。
こんしまちゃんは急ぎすぎている自分に気づいた。
「しまった……」
というわけでナビゲーターのせいで世界が危ないことや、もともと存在していたいろんな異世界についてこんしまちゃんは解説する。
闇のマンガ家が首を縦に振ったあと、手をたたく。
『なるほど。だから背中にコブのある人たちが私の前に突然現れたんですね!』
「かみしゃまはともかく……闇のマンガ家さんは信じてくれるんですか……?」
『いや半信半疑ですけど、普段から私、自分のマンガに入り込んでいるから慣れてるっていうか』
「とにかくキサマら、現状については理解したな?」
画面に対して前かがみになるアルベス。
「では全員、オレの世界と自分のいる世界とを合体させることを許可しろ。ただし許可が下り次第、即座に世界合体を実行するわけではないから勘違いするなよ」
『ボクは構わないよ~』
「即答するとはさすがだな、かみしゃま」
『宇宙使いの1人にすぎないわたしの一存では決められません。みんなと相談する時間をください』
『私は……ちょっと待ってくださいねー』
闇のマンガ家はスマートフォンを取り出し、だれかに電話をかけた。
その未知の機械にアルベスは興味津々だったようだけど、なんとか通話が終わるまで沈黙をつらぬくことができた。
* *
そして時間切れで3つの画面が消えたあと、こんしまちゃんが提案する。
「あの世界につなげましょう……」
「ほう、分かっているではないか。こんしまちゃん」
今週のしまったポイントがまた消費され、地面に1つの画面が映し出される。
その画面に映った世界に、墓かぶりの世界を映す画面を転生させた。
先ほどの36ポイントに加え、新たに12ポイントを使ったことになる。
映ったのは勇者魔王。
ナビゲーターも彼の隣に戻ってきている。
『この画面はこんしまちゃんの仕業ですか。なるほど、アルベス王の力も借りてポイントの使い道を応用し、異世界同士の双方向の通信を実現したと。やるもんですわ~』
コウモリのぬいぐるみが勇者魔王よりも前に出てニヤリとする。
『……で、だからなんです? こんなの、ポイントの無駄づかいですよ。それともこんしまちゃん、安全な場所からワタシに懇願でもするつもりですかー』
「いいや……わたしがしたいのは――」
こんしまちゃんは真顔で応じた。
「……宣戦布告」
『なんですって』
「キサマらと戦うのはオレの意思でもある」
ニヤリとした笑みをアルベスが返す。
「オレたちは異世界同士で手を組み、キサマの野望を阻止する。軍門に降るなら今のうちだ」
『弱者が調子に乗るな』
押し黙っていた勇者魔王がアルベスをにらんだ。
『せいぜい、我にケンカを売ったことを悔いながら消えろ』
『あ~あ、おこらせちゃったー』
肩をすくめ、首を左右に振るナビゲーター。
『わざわざこっちに連絡するんじゃなくてこっそりやればよかったものを。ほらほら、「しまった」って言いなさいよー』
『コウモリくん、間抜けなこいつらに先制攻撃をかけてやろうじゃないか』
『いよっ、勇者魔王さまカッコいい~』
大きな紫の火の玉1つがナビゲーターのそばに現れ、消える。
『おなじみのこんしまポイント10ポイント消費。覚悟してくださいねー』
ここで異世界を映す画面が途切れた。
* *
ナビゲーターは勇者魔王のいる世界と別の世界とを新しく合体させていた。
「さあ勇者魔王さま! 向こうが手を組む余裕がなくなるほどに、この世界をメチャクチャにしてやりましょう!」
さっそく、マイナスレベルで統一された軍団が侵攻を開始する。
しかし進軍後、間もなくして魔王城に知らせが届いた。
「申し上げます、申し上げますっ!」
「どうした、我の出番を待たずもう制圧してしまったか?」
「違います! 味方の軍団がことごとく壊滅させられているのです!」
この報告には、勇者魔王もナビゲーターもあ然とした。
知らせを届けてくれた者に、勇者魔王が震える声で問い返す。
「首都を攻めさせた精鋭部隊は?」
「全滅です!」
「相手はそれほどの大軍なのか」
「1人です!」
「え……え……え、え、ええ? どうなってんの……?」
さっきまでの自信満々な顔が崩れていく。
勇者魔王のレベルの絶対値は1000万ではあるけれど、精神的にはまだまだ未熟であるようだ。
一方ナビゲーターはなにかに気づいたのか、悔しげにさけんだ。
「シマッタ。こんしまちゃんめッ!」
* *
☆今週のしまったポイント:-47ポイント?(合計43ポイント?)
次回「計画的に迎え撃つ」に続く!?




