即バレした。
インターネットじゃ、めぼしい情報はあんまり無かった。
シエルはどこから来て、何故川先駅にいたのだろうか。
謎が深まるばかりである。
トントンとパソコンに向かって調べ物をしていた俺の背中に、音が聞こえてきた。
シエルが爪で俺のスマホに触れているらしい。
スマホにずっと興味があるみたいなので、
スマホについて、色々説明してみた。
そのおかげで苦手意識は無くなったみたいだ。
少しだけなら器用に操作もできている。
文字とかは読めないけど、
絵や写真や動画は見れるみたいだ。凄いな。賢いな。
一応、電話のかけ方も教えた。
と言っても、親父のスマホに連絡帳から連絡する方法だから、割とシンプルな操作だ。
番号を打ち込んだりは、流石に出来ないみたいだ。
その後、スマホの機能について説明をして、カメラ機能のテストと称して、ポーズをリクエストしてスマホで写真撮りまくったら、結構喜んで応えてくれた。
俺のスマホフォルダは、シエルの写真が沢山保存された。
嬉しい……
みんなにこの可愛さを共有したい……
俺だけじゃもったいない……
フフフフ。ウチの子カワイイってこんな感情なのね。
よ、よし。欲求がフツフツと湧いて出てきてしまった。
SNSで新しいアカウントを作って、ひっそり成長日記をつけてしまおう。
他人から見たら、ペットが飼えないから、妄想のイマジナリードラゴンを創造するヤベー奴かもしれないが、俺は周りの評価を気にしないタイプだ。無敵の人と呼んで欲しい。
プルルルルル…
突如として、俺のスマホが鳴った。
近くにいたシエルが、そのスマホに応答した。
タッチパネルの緑のボタンを器用にタッチした。
凄いや、ウチの子。順応が早いし天才だわ。
教えたことを直ぐに出来ちゃう。
ほらー!誇らしい顔をしてますわー!
「凄い!!!シエルちゃん!天才!!!」
「キューン!」
喜んで返事をしている。
「え?何今の高い音。鳴き声?辰?もしもし?」
おっと。シエルの爪が画面にあたってスピーカーモードになったのかな?
あ………。まずいかも。とてもまずいかもしれない。
『シエルさん。スマホを俺の方に下さい。』
と思考を飛ばす。
シエルさんは、喜んで可愛いおみ足で、羽を羽ばたかせてスマホを運んでくれました!
おりこうさん!
ピピッ
あ。なんか切り替わる音した。
「テレビ電話?顔見たいの?もぉ〜しょうがないわねぇ〜」
「あっ。終わった。」
「うわぁぁぁぁ!!!!なんか浮遊してる!!!
すごい!!!スマホが浮いてる!!!どうなってんの!?
ドローン!?」
お。まだシエルに気がついてない。
惜しいな、ドローンとドラゴンは二文字違いだ。
よし。まだ挽回ができるな。
次の一言で全ての情報を俺にもってくぜ!
「実は俺、超能力に目覚めたんだ。サイコキネシスに。」
「アホな嘘つくな!って!ええ!?何この子!?」
あ。しまった。
幼なじみの牛沢光希に、即バレした。
辰 馬 牛 察しの良い方なら、
おわかりになるでしょう。
登場人物は一応モチーフを考えております。