e.15 Who are…?
申し訳ない、今回はかなり短いです!
【フィールド:ライナーフォレスト】
「おー、集まってる集まってる」
ライナーフォレストの中には、かなりの数の人が集まっていた。
プレイヤーも結構いるけど、NPCの方が多そうだ。
ちなみに私がいるのは上空だ。フライトで飛行しながら見てる。
そして、これから私がやるのは…適度に姿を見せつつウィスプを狩ったり(手なずけたり)新種のエネミーを狩ったり(手なずけたり)する。
この近くに天使がいるということを知らせて、かつこの原因ではないことを出来る限り見せつける。
邪魔をしようものなら、プレイヤーもNPCもある程度やっていい。
「じゃあ、30分で終わらせるよ。【天翼解放】」
*Side ??*
この日を待っていた。
何十年…いや、何百年の時間を。
「この感覚…そう、これだ」
力…全てを屈服させる力だ。
もう、何にも邪魔はさせない。
*Side ミレニア*
「…何かしら?」
ミラ(ウィスプ)をなでながら、周りを見渡す。
…空気が変わった。…それに、生体反応が…減っている?
このイベントは一体何だ?
「大丈夫…心配ないよ」
嫌な感じだけど…悪魔とかが近くにいるのか?
しかしそれらしい反応はない。ゴースト系か…?
「…プレイヤーが来たか」
樹の下を、六人PTのプレイヤーが進んでいる。
普通に歩いてる…?…もしかして私しか気付いてない…?
「…ランナーか」
「!?」
突然聞こえた声に、上空へと羽ばたく。
「…天使、か。何故ここにいる?」
声の聞こえたほうを見ると、そこには…少女がいた。
見た目は完全に人だけど…雰囲気も格も違うな。悪魔ではない…魔物か。
蛇…ラミア?
この子が…原因か?いや、それよりも…
「なんで服を着てないの…」
何故だ…このゲームは全年齢対象のはずだ…。
「私は闇。貴方は光。光は闇の本質を見抜く」
「はぁ…私が女性じゃなかったら危なかったわよ」
「何故?身体は本質とは違う。見た目はただの見た目でしかない」
「随分と面白いことを言うね。ラミアさん」
「私の本質を見抜くその力、称賛に値する」
そうして彼女は、手に剣を作り出す。
私も、ハルバードを取り出す。
「私はラル・グライアル」
「私はミレニア」
お互いに名を名乗る。
「「じゃあ(では)」」
残り10分だけど…!
「「勝負!」」
戦闘を開始する。
*Side ??*
「楽しい」
「そうだね。私も、こんな楽しい戦いは初めてだよ」
何十回と刃を交える。
今までのどんな戦いよりも、この戦いは楽しい。
そして、美しい。
「ミレニア」
「何?」
至近距離で刃を交えながら問う。
「あなたは何故強い?」
「そうだね…生きるためかな。弱いランナーは、狩られるからね」
ミレニアの答えは正しい。
私たちは、弱かったら生きられない。
だから、強くなければならない。
「ラルは、どうして強いの?」
「認めてもらうため」
再び刃を交えながら、ミレニアが問う。
「認めてもらう?誰に?」
「私に」
「…どういうこと?」
「私は、私の弱さを認めない。私は強くならないといけない」
…強くならないと、だめだから。
過去と決別をするために。
未来を手に入れるために。
「そう。その心意気、いいね!」
「それは、ありがと!」
*Side ミレニア*
どれだけ永い間戦っているのだろう。
五分のようにも感じるし、三十分にも感じる。
もしかすると、それ以上かもしれない。
「はぁ…はぁ…」
「疲れる…ね」
「強い。貴方は、私よりも強い」
「それは、どうも」
肩で息をしながら、10mほどの距離をとって話し合う。
私の残りLPは30%、ラルの残りLPは20%。
私は、天翼解放の効果が切れて通常状態に戻っている。それに加えて魔法と戦技が使いものにならない。
でも、それまでに削れるだけ削った。本気でやったのだけど、それでもここまでだ。
「熾天使…私では、敵わない、ですね」
「そんなことないよ。私をここまで追い込んだのは、貴方が初めてだよ」
「それでも、私は、貴方には、勝てない」
息切れしていて途切れ途切れながら、彼女は言葉をつなぐ。
彼女はラミア、しかも真祖だから強い。
だけど、彼女には多大なハンデがある。
長らく戦闘をしていない、力が完全に引き出せない、光相手だから相性が悪い。
それに、私はこれでも数多くの戦場を経験している。それこそ、彼女より多いかもしれない。(とはいえ彼女の言う戦闘は、あくまでもデータ的なものでAIだからプレイヤーとは違う)
「貴方は…どうして、力を…」
いつの間にか、彼女の持っていた剣は消えている。
あれは魔力で作りだしたものだから、おそらく魔力に分解して戻したのだろう。
「どうして…か。それは、力というものがあるから」
「…わからない。もう少し具体的に」
「力がある者は、力がない者より優位。だから、力を得なければならなかった。そうしなければ、力を持たない者は何もできない。弱い者は強い者にとって『ただの獲物』だってこと。それが嫌だったから。それで、仲間が傷つくのが嫌だったから」
「…家族や友達が傷つくのが、嫌だった。だから力を制する力が必要だった」
「そういうこと。だから、私は力を手に入れた。力に対抗するには、力しかないから」
「…そう。貴方もなのね。貴方は成功した」
私も…?私は成功した…?
もしかしてこの子…誰かを失っている…?
…過去、ラルは何かを失っている。その悲劇を繰り返さないように、力を求めている。
憎しみ、悲しみ、怒り。
そんな感情が、彼女の力になっているのか。
「私は、弱かった。それだけのこと」
ラルの瞳から、一筋の雫が頬を伝う。
──……………
どうして…
──…………で
何故…
──………いで
こんな…
──……ないで
タイミングで…
──…かないで
思い出すんだ…
──なかないで
*Side リィナ*
「……」
「キャンサー?」
隣に座っているキャンサーを見てみる。
…さっきからずっと、心ここにあらずという感じだ。
「…あ、何?」
「いや…大丈夫?」
「大丈夫だよ。………」
明らかに大丈夫じゃない…。
ミレニアに何かあったのだろうか…彼女は今GMから要請された仕事をしているはず…。
システム的には何の問題もないはずだし…真祖のラミアとはいえ熾天使の(しかもVRMMO上級者の)彼女が負けるとは思えない。
…精神や理論の問題?
「二人とも、大丈夫ですか?」
「サース様…」
「気持ちは強くお持ちください。例え重圧に耐えられなくなりそうでも、貴方たちには守るべき人、守ってくれる人がいます。お忘れなく」
…そういって、サース様は去って行った。
あの台詞は…私たちを気遣ってのものだろうか。
「…そう、だね。守る人が、いるもんね」
「…元気出た?」
「うん。ありがと」
「サース様に言ってよ」
「リィナも、ありがとう」
「はいはい」




