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──ピッ…ピッ…
無機質な機械の音が響く。
──ピッ…ピッ…
もう、どれだけの時間が経っただろう。
──ピッ……ピッ……
私の前にいる少女は、目を覚まさない。
──ピッ……ピッ……
誰よりも大切なのに
──ピッ………ピッ………
誰よりも大好きなのに
──ピッ………ピ………
守るって決めたのに
──…………ピ
私は
──………………ピッ
守られてばかりで
──……………………ピ
守れなかった
──…………………………
お願いだから
──…………………………
目を開けて
──…………………………
私なんかのために
──…………………………
いなくならないで
──…………………………
誰か
──…………………………
「助けて…」
耶風 那奈香と耶風 利理香。
和の国のある場所に暮らしている、少々特殊だけどいたって普通の姉妹だ。
姉は文学のスペシャリストとして。
妹は教養のスペシャリストとして。
それぞれが頂点に立っていた。
年齢差は四歳。現在は12歳と16歳だ。
姉妹の才能は高く評価され、国からも認められているほどであった。
しかし、それを快く思う者ばかりではないのは当然のことだ。
まだ子供の姉妹に対していい印象を持たない者は多い。
非難や中傷を浴びせられることも少なくなかった。
しかり二人の姉妹は優秀なだけではない。
心の強さも持っており、戯言を聞いても何も思わない。
だからこそ脆く弱い。
もしも、彼女たちが『考えて』しまったら。
彼女たちがどうなるのか、誰にも分からないから。
何年経っても変わらないものはある。
永遠に変わらないものもある。
それと同じように。
触れただけで壊れてしまうものがある。
少しの時間で変わってしまうものがある。
私が生きてきた僅かな時間で、それは分かった。
そしてこの世界の大半は、後者だ。
例えば感情。
『信頼』は『疑心』に、一瞬で変わる。
『慈愛』は『拒絶』に、一瞬で変わる。
『好意』は『害意』に、一瞬で変わる。
表面上ではどう繕っても、内面は分からない。
私は知っているから。
裏切られること、
拒絶されること、
敵意を向けられること、
それがどういうことか。
その理由が何か。
それで、何を失うか、何を得るか。
それは恐怖。
不特定多数の人から、『疑われ』『虐げられ』『突き離され』『嗤われる』こと。
現実は不条理だ。
味方だと思ってはいけない。
裏切られるだけだ。
不特定多数の人に人間は同調する。
一人ではなく五人、十人の方へと付く。
誰だって自分が大切だから。
誰だって平和に生きたいから。
それが人間だから。
私はそう思っている。
だからこそ、私は此処にいる。
人がそうあるから、私は『疑われ』『虐げられ』『突き離され』『嗤われる』。
私はそれで、構わないから。
私は一人の人間だから。
人間がそうであるなら、『悪』となればいい。
『悪』として非難されても構わない。
私が『悪』となることで、誰かが平和を手に入れるなら。
誰かが幸せを手に入れるなら。
…それで、もしも役に立てるなら。
…違うかもしれない。
居場所が欲しかった。
自分が役に立てる場所が欲しかった。
たとえ認められなくても。
どれだけ非難されようと。
それが私の居場所になるなら構わない。
私は弱いから。
だから、安静が欲しかった。
自分が役に立てると、そう実感した安静が。
弱さを隠すために。
『自分』という地位を、確立するために。
そうしないと、押しつぶされてしまうから。
弱い私は、そうしないと持たないから。
だから私は嫌われ役になる。
神様というものが存在するのか。
存在するならば、どういった役割を持っているのか。
どれだけの数が存在するのか。
八百万の神と、和の国ではそう言われることがある。
八百万の数、神様がいるわけではない。
ただ、それほど多くの神様がいると考えられているからだ。
和の国では、ことあるごとに『神聖化』を行っていたから。
『霊峰』もその一つで、山に神をあてはめたもの。
有名なものは『富士霊峰』というものがある。
そうして、和の国で信仰される神様の数は膨大な数となっている。
有名なものを挙げるならば、海原の神『素戔男尊』、太陽の神『天照大神』、月の神『月読命』の三貴子。
ちなみに海の神には『海神』もいて、素戔男尊を最強の武神と言うことも多い。
中には実在した人を神として崇めることもある。
最も有名なものでいえば、ご存じだろう『坂本龍馬』や『源義家』などがそれに値する。
このように、和の国では多くの事象や人物を神格としていた。
そのために八百万と呼ばれるまでに至ったのだろう。
そしてそれぞれの神に特定の物があてはめられる。
しかし、もしも本当に神というものがいるのなら。
それは正しいのか?
私のこの考えは、確かに『邪』だろう。
けれど、そう考えなければならない。
神様は人を見守ってなどいないのではないか。
そもそも人は特別ではないはずだから。
神様は手を差し伸べたりはしないはずだから。
どれだけ祈っても救われなかった人がいるから。
だからこそ考えてしまう。
神様は、人間なんかを見ていない。
神様は、人を救ってはくれない。
結局、人を助けるのは人なんじゃないか。
どれだけ頼んでも、神様は干渉しないじゃないか。
どれだけ祈っても、彼女を助けてはくれないじゃないか。
だから、神様はそんな役割なんてきっとない。
神様がいるとしても、一人の人間なんかに興味はないんだ。
いくら信じても、
いくら祈っても、
そんなの無意味でしかない。
だから無神を私は信じる。
神なんていない。いなくていい。
何とでもいえばいい。
たとえ『悪』でも、『邪』でも。
私は、綺麗事ではだれも助からないと分かってる。
だから信じるだけ無駄なんだ。
どうしても、信じられないから。
信じる意義を見いだせないから。
だから私は、神を信じない。
神の不在を信じる。
例えそれが悪でも。
例え誰に非難されても。
ただ私は、そう信じる。
これで第一章は完結とさせていただきます。
今後の物語については未定ですが、閑話や紹介を少し挟んでから本編に戻りたいと思います。
また、ご意見・ご要望がありましたら可能な限り答えられるように努めたいと思います。
では、お読みいただきありがとうございました。




