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第3話 生き延びるための第一歩

森の中は、草原とはまるで違っていた。


木々が日差しを遮り、地面には枯れ葉や折れた枝が積もっている。


視界が狭い分、どこから何が出てくるか分からない怖さがあった。


俺は歩く速度を落とし、周囲を確かめながら進んだ。


まずは、水。


次に、夜を越せる場所。


食料も必要だが、見知らぬ植物をむやみに口に入れるわけにはいかない。


ラノベでは、主人公が森の果実を食べて腹を満たす場面もある。


しかし、物語の都合で安全が保証されているのと、現実に食べていいかどうかは別だ。


まして、俺には状態異常無効という能力があるはずだが、それが本当に機能するのかすら分かっていない。


「能力があると思い込んで行動するのは危険だな」


俺は自分に言い聞かせた。


足元を見ながら、使えそうな枝や大きな葉を探す。


何かに使えるかもしれないものは、すぐに捨てずに覚えておく。


ただし、荷物を増やしすぎるのも問題だった。


手で持てる量には限界がある。


そのことを考えていると、ふと、ゲームで選んだ能力が頭に浮かんだ。


空間魔法。


もし本当に使えるなら、荷物をしまえるかもしれない。


だが、今は試し方も分からない。


俺は無理に何かを起こそうとせず、まずは周囲の探索を続けた。


少し進むと、地面が緩やかに低くなっている場所があった。


木々の間から風が抜けている。


周囲を見回すと、太い木の根元に、少しだけ平らな場所が見つかった。


雨や風を完全に防げるわけではないが、むき出しの草原よりはましだろう。


俺はその場所を覚えておくことにした。


まだ、ここを拠点にすると決めたわけではない。


水場も見つかっていないし、魔物が来ないという保証もない。


それでも、何も考えずに歩き続けるよりはいい。


「焦るな。ひとつずつ確認するんだ」


仕事でも、ゲームでも、結局は同じだった。


状況を把握して、できることから手をつける。


この世界で生きていくための第一歩は、そこから始まるのだと思った。

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