第24話 少しずつ、暮らしを作る
水場を見つけたことで、森での生活は少し前進した。
もちろん、何もかもが解決したわけではない。
水は澄んで見えても、安全性が完全に確認できたわけではないし、食料も安定していない。
それでも、水のある場所を把握できたことは大きかった。
俺は寝床と水場の位置を確認し、往復するときに迷わないよう、周囲の特徴を覚えていった。
収納魔法も、以前より自然に使えるようになってきた。
枝や葉を必要に応じてしまい、使うときに取り出す。
ただし、収納できる量や、収納した物の時間がどうなっているのかは、まだ分からない。
便利な能力だからこそ、少しずつ確かめていく必要がある。
その合間に、俺はグレイの様子を観察していた。
グレイは、相変わらず青紫色の実をよく食べている。
「そういえば、お前はあの青紫色の実をよく食べていたな」
俺がそう言うと、グレイは耳を動かした。
俺は以前、グレイが食べている実を少しだけ味見したことがある。
今のところ、すぐに体調を崩すようなことはなかった。
しかし、完全に安全だと判断したわけではない。
グレイが食べられるものでも、俺が同じように食べられるとは限らないのだ。
「食べ物は、もう少し慎重に調べないとな」
俺はそう言いながら、集めた材料を整理した。
寝床を少しでも快適にする。
使えそうな枝を確保する。
水を運ぶ方法を考える。
今は小さなことばかりだが、ひとつずつ積み重ねていけば、生活は改善していくはずだ。
以前の俺は、仕事の予定や上司の指示に振り回されていた。
今は違う。
何をするかは、自分で決められる。
危険も不便もある。
それでも、自分の考えで生活を組み立てていくことには、確かな手応えがあった。




