第25話 収納魔法の中では時間が止まるのか
収納魔法を使えるようになってから、俺にはひとつ、気になっていることがあった。
収納した物は、時間の流れから切り離されているのだろうか。
もしそうなら、食料の保存に使えるかもしれない。
しかし、今のところ、確かめる方法がない。
俺は、収納魔法の中に入れた小石と枝を思い出した。
どちらも、取り出したときには収納前と変わっていないように見えた。
だが、小石や枝は、短い時間では変化が分かりにくい。
それだけでは、時間が止まっている証拠にはならない。
「何か、変化が分かりやすいものがあればいいんだが……」
食べ物を入れて試す方法も考えた。
しかし、今の俺には、食べ物そのものが貴重だ。
安全性も分からないものを、実験のために無駄にするわけにはいかない。
火を使った実験も思いついたが、そもそも、まだ安定して火を起こす方法を確立していない。
今は、できる範囲で確認していくしかなかった。
俺は小石を収納し、もう一度取り出した。
特に変化はない。
それを何度か繰り返したあと、俺は実験を切り上げた。
「時間停止は、まだ仮説だな」
収納魔法が使えること。
しまった物を取り出せること。
収納した物が、今のところ目立って変化していないこと。
確認できたのは、そこまでだ。
時間が止まると決めつけるのは早い。
俺は収納魔法を過信しないようにしながら、これからも少しずつ調べていくことにした。
この世界で生き残るためには、便利な能力を持っていることよりも、その能力を正しく理解することのほうが大切なのかもしれない。




