第23話 水場へ向かう
グレイと行動するようになってから、森の探索にも少し変化が生まれていた。
グレイは自由に動き回るが、ときどき俺の近くに戻ってくる。
何かを見つけているのか、単に自分の好きな場所を歩いているのか。
まだ判断できないことばかりだ。
その日、グレイは地面を嗅ぐようにしながら、木々の間を進んでいった。
俺は距離を保って後を追った。
しばらくすると、かすかな水音が聞こえた。
以前から探していた水場かもしれない。
俺は足を止め、周囲を確認した。
グレイは警戒する様子を見せず、さらに先へ進んだ。
やがて、木々の間に水が流れている場所が見えた。
小さな流れだった。
水は澄んでいるように見える。
俺はすぐに飛びつかず、周囲に動物の足跡や異臭がないかを確認した。
明らかに危険そうなものは見当たらない。
グレイは水辺に近づき、口をつけて水を飲み始めた。
俺は、その様子を見守った。
グレイが飲んでいるからといって、人間にも安全とは限らない。
それでも、水を探していた俺にとっては大きな手がかりだった。
俺は手のひらですくい、ごく少量だけ口に含んだ。
慎重に飲み込む。
味に目立った違和感はない。
しばらく待っても、すぐに体調が悪くなることはなかった。
だが、それだけで安全だと断定することはできない。
俺は無理に大量の水を飲まず、場所を覚えることを優先した。
「水場は見つかった。あとは、どうやって安全に使うかだな」
グレイは水を飲み終えると、顔を上げた。
俺はその小さな姿を見ながら、ようやく生活の基盤がひとつ整ったことを実感していた。




