第21話 青紫色の実
灰色の生き物と過ごす時間が増えるにつれ、俺はその行動を少しずつ観察できるようになっていた。
ある日、生き物が茂みの近くで立ち止まった。
地面には、青紫色の実がいくつか落ちている。
生き物はその実を口にした。
ひとつ食べ、周囲を確認し、またひとつ食べる。
どうやら、この実を食べることには慣れているようだった。
「それが、お前の食べ物なのか?」
俺は離れた場所から様子を見た。
青紫色の実は、見た目だけなら果実に見える。
しかし、見た目だけで食べられると判断することはできない。
俺は実の形や色、茂みの特徴を覚えておくことにした。
灰色の生き物は、しばらく食べたあと、こちらを向いた。
そして、口元にくわえていた実を地面に置くような仕草をした。
俺は少し驚いた。
「……俺にも食べろってことか?」
そう見えなくもない。
ただ、偶然そうなっただけかもしれない。
生き物の意図を断定することはできなかった。
俺は実を拾い、手の中で観察した。
匂いを確かめ、表面に傷や変色がないかを見る。
それでも、安全性は分からない。
状態異常無効という能力が本当に働くとしても、あらゆる毒や危険を防げるとは限らない。
まして、能力そのものをまだ検証していない。
俺は実をすぐには食べず、ひとまず収納魔法にしまった。
灰色の生き物は、また別の実を食べ始めた。
この実が食料になる可能性はある。
しかし、それを確かめるには、慎重な検証が必要だった。




