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天魔異世界転移の冒険譚  作者: シュウ
第一章 異世界生活編
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第20話 灰色の相棒

その日、灰色の生き物は、いつもより近くにいた。


俺が座って休んでいると、少し離れた場所からこちらを見ている。


しばらくすると、地面を探るように動き、またこちらを向いた。


俺は刺激しないように、ゆっくりと手を下ろした。


無理に触れようとはしない。


相手が近づいてきても、こちらから急に動かない。


そうして様子を見ていると、灰色の生き物は少しずつ距離を縮めた。


長い耳が動き、鼻先が地面を探る。


やがて、俺の手の近くまでやってきた。


「……お前、俺のことが気になるのか?」


もちろん、返事はない。


それでも、逃げずに近くにいるという事実は変わらなかった。


俺はしばらく、その小さな姿を見つめていた。


この世界で、俺はまだ誰とも出会っていない。


言葉を交わす相手もいなければ、助けを求められる相手もいない。


そんな中で、目の前の生き物が近くにいることは、思っていた以上に心強かった。


ただし、相手の性質も、食べ物も、危険性も分からない。


完全に信用するのではなく、互いに無理のない距離を保つことにした。


そのとき、頭の中に、不思議な感覚が生じた。


何かが成立したような、曖昧な手応え。


俺は思わず顔を上げた。


「今のは……?」


周囲を見回す。


だが、目に見える変化はない。


灰色の生き物も、特に変わった様子はなかった。


何が起きたのかは分からない。


ただ、俺はこの小さな生き物と、これからも一緒に過ごせたらいいと思った。


名前は、まだ決めていなかった。

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