第18話 小さな観察者
森での探索を続けていると、灰色の生き物を見かける機会が増えてきた。
いつも同じ場所にいるわけではない。
茂みのそばにいることもあれば、木の根元で何かを探していることもある。
俺が近づくと、距離を取ることもあった。
反対に、少し離れた場所から、こちらの様子を見ていることもある。
「俺を覚えたのか?」
そう考えたものの、確かなことは分からない。
ただ、以前よりも姿を見つけやすくなったのは事実だった。
俺は生き物を驚かせないよう、なるべく急な動きを避けていた。
一方で、探索の目的を忘れたわけではない。
水場を確認し、寝床を整え、道具を作る材料を集める。
生き物を観察するのは、その合間だった。
あるとき、灰色の生き物が地面を探るように動き、その後、少し離れた場所へ移動した。
何かを見つけたのだろうか。
俺はすぐには追わず、周囲の様子を確認した。
危険な気配は感じられない。
それでも、相手が動いた理由までは分からなかった。
「何か見つけたのかもしれないな」
そう思っただけで、確信はない。
生き物は、俺が見ていることに気づいたのか、こちらを振り返った。
長い耳が、ぴくりと動く。
そして、また地面へ視線を戻した。
俺は、その様子を静かに見守った。
この森には、まだ知らないことが多い。
小さな生き物の行動ひとつにも、何かを知る手がかりが隠れているのかもしれなかった。




