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天魔異世界転移の冒険譚  作者: シュウ
第一章 異世界生活編
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第16話 森で見つけた小さな命

森での生活にも、少しずつ慣れてきた。


もちろん、安心して暮らせるほどではない。水場はまだ十分に確認できていないし、食料も安定していない。夜になれば、いつ何が現れるか分からないという不安が残る。


それでも、最初の日のように、何も分からず歩き回るだけではなくなっていた。


俺は目印を頼りに移動し、使えそうな枝や葉を見つければ、必要に応じて収納魔法にしまう。


その日も、寝床の改善に使えそうな材料を探していた。


ふと、近くの茂みが揺れた。


俺はすぐに足を止めた。


また魔物だろうか。


あの草原で遭遇した、巨大な狼のような獣の姿が頭をよぎる。


俺は周囲を警戒しながら、茂みを見つめた。


しばらくすると、そこから小さな生き物が姿を現した。


灰色の毛に覆われた体。


長い耳と、体に比べて目立つ長い尻尾。


大きさはそれほどでもなく、少なくとも、あの狼のような魔物とは比べものにならない。


「……なんだ、お前?」


生き物は俺を見つめていた。


逃げる様子はない。


だからといって、近づいてくるわけでもなかった。


俺は刺激しないように、その場で動かずにいた。


見た目は小さくても、危険がないとは限らない。毒を持っているかもしれないし、突然襲いかかってくる可能性だってある。


俺は距離を保ったまま、様子を観察した。


灰色の生き物は、しばらくすると地面の匂いを確かめるように鼻先を動かし、茂みの近くへ戻っていった。


その動きには、少なくとも今すぐ俺を襲おうという様子はなかった。


「敵意がないのか、それとも、ただ警戒しているだけなのか……」


まだ分からない。


だが、この森で初めて出会った、自分から逃げずに姿を見せた生き物だった。


俺は、その小さな姿をしばらく目で追っていた。

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