第9話 小さな発見を見逃さない
森の中を進んでいると、地面に落ちている葉の形が変わったことに気づいた。
先ほどまで見ていた葉よりも大きく、幅が広い。
俺は一枚を拾い、両手で持ち上げてみた。
厚みがあり、少し曲げても簡単には裂けない。
「これは、何かに使えそうだな」
水を受ける器の代わりになるかもしれない。
食べ物を包むこともできそうだ。
もちろん、葉の種類も安全性も分からない。口に入れたり、傷口に当てたりするのは避けたほうがいい。
今は、道具の材料として考えるだけにしておく。
俺は形のよい葉を何枚か集めた。
その近くには、細くて柔らかい草も生えていた。
草を引っ張ってみると、すぐに切れてしまうものもあれば、ある程度の力に耐えるものもある。
結びつける材料にできるかもしれない。
少しずつ、周囲にあるものの使い道を考えられるようになってきた。
何もないように見える森でも、注意して観察すれば、利用できそうなものはいくつもある。
ただし、何でも拾えばいいわけではない。
毒を持つ植物や、危険な虫が隠れている可能性もある。
俺は手に取る前に、なるべく目で確認するようにした。
そのとき、風に混じって水のような音が聞こえた気がした。
俺は顔を上げた。
音はごく小さい。
風が葉を揺らす音かもしれない。
それでも、確かめてみる価値はあった。
俺は足元に気をつけながら、音がしたと思う方向へ進み始めた。




