準決勝
会場の歓声はなかった。
王族が負けた。観客席では、魔法をかけられた王族が、歩いて場外に出た。あっけない幕引きだった。ふざけているのか。とさえ感じた観客も多かった。いいしれぬざわざわとした空気が広がっていた。
控え室への道。
「ガハハハ!負けてしまった。まぁ、それは良いとして。」
魔人少女の力。俺様の頭だけの想像だったのか。それとも、俺様がほんとに魔装をしないといけないレベルだったのか。
「そもそも俺様はいつから魔法をかけられていたのか。」
いくら魔人少女だとしても、そんなことは可能なのか
「1度かけられた魔法は、再度かける時には抵抗力ができ、かかりにくい。それに、正直、あのレベル程度の魔法使いに、俺様がかかるのか。魔人少女は、魔法生物との契約によるものあやつらの人格は、俺様が知るあやつらと、変わりない。なら、なぜ」
長い廊下を歩きながら思案する。
「そもそも、あの場あの形の勝利になんの意味がある。俺様を倒すのに、夢の中のように大いに周りにしめせば、魔法少女への道も。新たな魔法の付与も、簡単だろうに。そもそも顕示欲の強いあやつが黙っていられないだろう」
すれ違う人々。感じる嫌な空気感。
「やつらの後ろにいる者がいるな。昨日の異界のものたちの仲間か。いや、俺様のことを知るやつ。その両方を満たす者か。貴族らの中で過去俺様と近い位置にいた者。魔法生物の扱いに長けていて、かつ、あやつらを制御できそうなのは、ブンプク=オオガ」
「分福[羊]釜。狼皮隠羊だ・か・ら!王族連中は嫌いなのだぜ☆海外留学に行ってるほのかちゃんのボーイフレンドといい、君といい。面倒なヤツが多い。」
ブンプク=オオガマは虚ろな表情になった青年の顎をなでる。
「幼少期に接触しておいて、良かった。君みたいな決戦兵器を御せるなんてさ!ほんと、ファインプレーなんだぜわ・た・し♡いぇーい!!」
ぴょんぴょんと跳ね、喜びを示す。が、鋭い痛みを感じる。
「つぅ」
「き、、さ、、ま、、、」
素早い手刀が肩を貫く。
「ってーな!!へぇ、抗うか。楽になりなよ?さっきの数倍つらいはずだぜ。眠気が」
「く。ぬぅ…」
「油断も隙もないなーったく。…女王の血族は手に入れた。順調順調。あの子らに飲ませた薬も効果あり。あとは、量産して。ははは、あの坊やへのいい手土産ができた。」
彼女の後ろに大量の魔法生物たちの気配。
「分福[子]釜。」
あしもとからわらわらとネズミが溢れてくる。王族の青年の下にもぐりこみ、会場から運び出す
「あとは、この会場にある探し物見つけて、それで全てが変わる。あはははは」




