分福[]我魔
「たたた、大変ですっ!準決勝で、準決勝で」
大会運営委員会本部横の実技室でほのかはお説教を食らっていた。初老の委員長はカンカンだった。
「うるさいわ。いま、この者の処罰を」
「なんも、悪いことしてないのに。処罰ってどういうことよ!ミッキュもなんか言ってやって!」
「しわくちゃがみががみねんちゃくオババッキュ」
ピキッ。いいすぎよ。バカミッキュ!!
「そうだ、そうだ!」
「宮内さん!!!」
しまった。本音と建前が逆だった。やべぇよ。青筋がえらいことになってるよ。
「い、い、いいでしょう!しっかりと。罰を受けてもらいますからね!!!」
あーあ、完全に怒らしてしまったわ。
「委員長!すみません。想定外の事態でして」
駆け込んだ魔法使いはかなり慌てた様子だった。
「ふん。想定がなにさね。こちとら、大会のはじめから、イレギュラー続きさ。本来学生の大会なのに。魔法隊隊員を入れたり、貴族や王族までも大会に参加して。席についてもそれぞれがめちゃくちゃ言いやがって!!はては、想定外の事態?!そんなもん。想定外なことが想定内よ!!」
ばんばんと机を叩きながらどなる。後ろに控えているカレンはすずしい顔をして脇に立っていた。大した心臓である。追求されてるのはほのかであるが、一連のことはカレンによる指示であった。
「大会参加者が変身して、ま、魔人少女があらわれました。」
「て、手に負えないわ。」
わなわなと腰砕けになってしまった。カレンは優しく彼女に手を貸し、声掛ける。
「おぉ、お労しや。アレク院長センセイ。ワターシカレンが、代わりに対処いたしまーす。」
「はぁ、はぁ、ありがとうございます。ですが、私は女王陛下から頼まれていて」
「大丈夫デース。わたーしがお手伝いしたことは秘密にしときマース!院長センセイは、救護室で休んでいてくださーい」
お水をわたし、退席を促す。
「あのハレンチなケモノと、脳ミソどこいったか、ペッタンコガールの処罰はビシバシやりまーす。」
「たのんだわ。少し休んできます。…あなたたち。あとで覚悟しときなさい!?。」
「あんたはもっと胸を締め上げて寸胴ニシテヤルワ!そこのペットは毛皮のポーチにシテヤルワ」
委員長が退席して
「ふぅ。さぁ、行こうか!ムネナシ!淫獣!」
「「ふざけんな」っきゅ!」
「カレン、もう何時間拘束されたか。狐綿ちゃんたち。大丈夫かな」
「あ、1回戦突破したって。」
「な、」
「それよりも、早く会場にいかないと。ほら、ほのか走る、走る!」
「ガハハ!魔人少女。笑えねーな。」
魔法国でのランクづけ。
魔法使い。魔法を使える者全てを指す。法があり通常生活魔法以外は許可されていない。
魔法騎士、魔法連隊。魔法国内で、一定のレベルを達した者が呼ばれる。魔法騎士は首都を守り、魔法連隊は地方を守っている。魔法騎士は貴族出身者が多い。
魔法少女。魔法を使える者で異界(日本)での活動を許可されたもの達。多くの場合サポート役となる魔法生物をパートナーとしているケースが多い。はみ出しもの、厄介者、異界出身者が多い
魔人少女。魔法生物を取り込み、絶大な力を手に入れたもの達。禁忌とされている。古代魔法少女大戦以降は長らく存在せず。公式の記録では近年、カウンターズさちよ。魔法少女ほのか。だけが確認されるのみである。
「研究したものは処罰されてきたのを知らないお前たちではないだろう。」
「魔人少女。これほどまでに素晴らしい力だとは驚きましたな。王族のみに伝わる秘伝。隠された口伝。くくく。なぜ研究が禁じられたのかもよく分かる。この力、王族でも簡単に屠れそうでありますな。さっそくですが、実験です。分福【午】我魔。疾風嵐脚」
かけ出す。さきほどのうさぎの魔人少女よりも。
「さらに早いか。赫……。」
「かの赫のレーザーが、こんなにも遅く見えるとは、億万蹄鉄」
滅多打ちにされていくガルガン。血は地面に落ちる前に拳に砕かれ、赤い霧のようになっていた。会場にもどよめきと悲鳴が広がっていた。
「痛快である!痛快であるぞ!!ふふふははははは!!」
「…………………ッ………は、はは、ははははは!!」
骨が砕かれ、内蔵が損傷しているようだ。口から血が滴り落ちる。それでもなお高らかに笑う。
「何がおかしい!分福【卯】我魔!!」
「さちよ叔母様が昔言ってたのさ。」
「笑うしかない状況ってか?なら、俺たちが十分追い詰めたってことか!分福【虎】我魔!!」
「脱兎如焔!!」「虎穴虎子!!」「疾風嵐脚・億万蹄鉄!!」
「……げに恐ろしきは人間よってな。」




