分福邪我魔
「ガハハハハハハハ!!!魔装か?」
膨れた魔力に腰を低くし身構える。魔装も千差万別。とはいえ、魔法使いの切り札。5大貴族の若君たち。全身に魔力を流し、攻撃に備える。この状態なら、上級魔法でも耐え切れる。男の観察眼と精神力は本物。
巻上がった土煙で視界は不明瞭。魔力探知もあてにならないほどの魔力量。
「ガハハ。だったら」
手を伸ばし、魔力の圧で押し潰そう。
「分福【虎】我魔……鍔鳴り」
ちん、という音とともに紙切れのように、腕が飛ぶ。油断はしてない。いついかなる時も本気だ。斬られたことに気づき、即座に魔法で回復を図る。
「はは、腕が切れたぞ、赫」
2つに分けたものが戻る原理を使い、腕をくっつけ、さらに戻る時に生じたエネルギーを辺りに散らして、牽制を行う。さして意味はないようだが。
「ガハハ初めてだぞ。俺様が戦闘で怪我を負うのは」
「まだ、戦闘とお想いで?これは戦争ですわ。ねぇ。陛下、いや、ガルガン。分福【卯】我魔…音速蹴」
跳躍による超加速。そして回し蹴り。
「赫!!」
手応えはない。
「……軌道を変えましたわね」
遠くの方で、破壊音が聞こえる。
「深窓の令嬢が聞いて呆れるとんだお転婆娘だな。蹴りの風圧でここから客席まで届かせるとは。ガハハハハハハ!!………………ハハッ」
土煙を払う。3人の貴族の姿を見て、笑いがとまり、表情が険しくなる。
「お前たちのその姿。魔装………………ではないな」
「さっすが、陛下慧眼であります。そう、我々のこの姿。」
3人の姿があらわになる。
「……魔人少女であります」




