チーム第1班根津
根津は森に潜みつつも、班員たちのデータを改めて確認していく。頬にかけて大きく裂かれた古傷は獅子によるものだといわれている。
まずは特殊部隊の教官だった宇品。今回の作戦行動でわざわざ引き抜いた男だ。魔法の力で若返った筋骨隆々の爽やかな青年。口調はおっさんのそれだが。幅広い知識とチーム内の規律を担ってくれている。
宇品の教え子である古田。今回の若年化の魔法をうけていない。銃の扱いに優れ、スポッターなしでスナイパーになれる稀有な存在だ。魔法適性もある。コミュニケーションを潤滑にしてくれている。
そして煉。今回の魔心臓移植に選ばれた1人。手術は総隊長に突然選ばれたあの白髪の青年がしたと聞いている。対魔法使いの切り札。
そして、ガイド。今回の任務に総隊長から預けられたこちらの世界のチンピラ。杖は奪っているが、持ち前の魔力で対応してきている。
今回の潜入任務。我々は罠に赴く形でいた。虎穴に入らずんば虎子を得ずの気持ちでいた。我々が紛れていて、魔法使いたちに対して、決定打にならずとも、かなり有効な手立てを身につけていることが知られ、宮内ほのかとの邂逅により、急遽作戦がフェーズ2に移行した。
魔法国との戦闘を想定した研究のフェーズ1から、魔法国との戦争準備に。
魔法国は1枚岩ではない。
宮内ほのかによる革命によって魔法国は、以前の体制を指示する旧女王派、我々の世界との積極交流を望む魔法少女派に分かれている。勢いは魔法少女魔法隊派があるが、磐石なのは旧女王派だ。勢力は拮抗し、衝突をしばしば産んでいる。
今回の大会でも、様々な部分で互いの言い分がぶつかり、結論が出ぬまま断行した結果。グレーな部分が生まれて、我々が潜入できた。
根津は今回の潜入任務で手に入れた杖を見る。無事持ち帰ることができれば御の字と言ったところだな。
「ふぅ。煉」
「なんだ、隊長。」
「魔法出せるってどんな感じだ」
「あー、んー、として、ぎゅっとして、バァーンって感じで」
「つたわんねーよ」
「なんつーか、気持ちいい」
「気持ちいい、か」
根津の頭によぎるのは、日本での魔獣被害や魔法犯罪の被害者たちだった。
「クソ喰らえだな」




