ライバルたち
ラクーンと狐綿たちが乱戦に巻き込まれているのには、理由があった。
浮島の構造上、中心に近づけば近づくほど敵と遭遇しやすくなる。だが、こんなに序盤に集まってしまったのは、対立候補たちの存在である。対立候補を避けて中級者初心者が集まってしまったのだ。ラクーンたちがいるのは、浮島の南側である。大混戦だった。
東の位置では、【チーム】第1班が淡々と着実に塔への道を進んでいた。
「だいぶ、出会い頭の戦闘が減りましたね。この浮雲や、浮く島の技術どうにか解析できないですかね」
「無理だな。空気中の魔力にも働き掛けているみたいだからな。他の連中からは警戒されてるのだろう。序盤に仕掛けてきた連中は、敵を見ることもできない雑魚ばかりだ。杖だけ1級品のな。この1時間。明らかに敵の質が上がった。せっかくの若い身体。存分に奮いたいのだが」
「あまりはしゃぐな。俺たちの任務は変わらない。発見したら、杖の確保だ。優秀な魔法使いは心臓をいただく」
「了解」
銃を装填する。
「洗練された動きでしたな」
「あの、魔法。魔力感知ができない飛び道具。やっかいだ」
「魔法少女選抜戦に滅魔石など、無作法な奴らめ」
彼らを追う魔法使いたちもいたが、隙のないかれらに手を出せないでいた。
西では。ジャングルに似つかわしくない豪華な服を着た一団が騒がしく歩いていた。
「ほぅ!珍しいですな!ニホンザルとやらでしょうか。実に興味深い!」
「いくら家の名誉のためとはいえ。なぜ、こんな猿といっしょに。それにわたくしたちも庶民たちと同じ試験を受けなくてはならないの。」
「斬り伏せたらよいだけだ。刀の修行にもならん」
「僕らが組むことに意味があるのさ。圧倒的な4大貴族の力を見せつけよう。な。」
喧嘩をしながらも優雅に歩いていく。
「勝ち目なんかねーよ。なんで4大貴族がチームを組んでんだよ」
「迂回していくぞ。」
いまだ、彼らに会敵したものはいない。
北の方角では、森が消滅し、荒地となり、塔までの1本道ができている。
開始直後。
「俺様の前を阻むか。うっとおしい。」
その一言で、道が開けた。彼の目の前にあった木々がねじれ切れ、全てが破壊される。
「ふん」
その様子を見ていた、近くの受験生たちは絶句する。
王冠を腕輪のようにはめた若い青年。赫いマントを翻し、堂々と歩いていく。
「がははは……見通しいがいい。だろ?」
「はい。その通りでございます。」
姿が見えぬ声に頷き歩いていく。
「叔母の意志を継ぐのは、俺様だ。全てを愉快に痛快に薙ぎ払っていくぞ。俺様は覇者の道を行く」




