分福茶釜2
カラカラと音を立ててサイコロを手の中でふる。
「準備はいいか?」
「は、ま、いや、」
「ほいさ!時は金なり!!」
カラカラと空中に投げたサイコロは二個おなじ目を出した。
「わしゃの勝ちだ!」
舞い踊る。女。おかしい。サイコロを手にとると、どの目にも同じ目が書いてあった。
「ちょ、ちょっと待て!こんなインチキな」
「契約は契約だ。確かめないお前さんも、契約をしてしまったお前さんも。女のわがままを叶えられない力不足のお前さんも、全部お前が悪い!!いただくぜ。その体!!」
「ってて、あんのばか。めちゃくちゃしやがって」
「す、すみません、でした。」
「狐綿は悪くない。悪いのはこいつら」
申し訳なさそうに縮こまっている学生たち。
「すまない。あんたらの仲間が、俺たちのために」
「お前らをたすけようとしたわけじゃねーよ。結果だ。結果。にしても、」
崖から下を覗きこむ。
崩壊した岸壁は下で粉々にくだけてた。
「容赦ねーな。こりゃ。あいつもさすがに死んだか?」
「そ、そんな、」
「よぁ、新世代のガキども」
ラクーンが大蛇に乗って崖下から現れた。長い体は筋肉質でまだら模様がテラテラと輝いていた。
「ら、ラクーンくん?」
狐綿が、近づこうとするのを呼び止める。
「狐綿!!近寄るな。そいつはラクーンじゃない」
「てめぇがきつねの依代か。犬っころ共に。この島にゃ。他にもいやがりそうだ。」
口調の違うラクーン。その様子を見て唸る双子。
「嫌な気配。お前。【大風呂敷】…」
信じられないという顔をしている。
「……まじかよ。きつねにたぬきか、笑えねぇ」
「わしゃの隈をたぬき呼びするなんざ。昔から失礼極まりない。なぁ、おい、お主ら」
ラクーンの姿をした何者かは、蛇に腰掛け。頬づおをつき、若者たちをながめる。
「わしの下僕どもの餌にしてやろうか?」
空気が、殺気が、おそろしいほど、体に刻まれる。
「う、」
「……っ。なんでこんな大物が」
双子がひるみ、片膝をつくなか、狐綿は、つえをぬく。
「ら、ラクーンくんを返して」
「…わしゃが、悪いような言い方は好かんな…原因はお前だろ?狐の。これは、合意の上の契約。ガキが口を出すな」
「……嘘つき。ラクーンくんを返して」
「わたしゃが、嘘つき?何を証拠に、」
狐綿は手を前に伸ばして、一言
「かえ、、、して!!!!」




