新たな敵2
「おい、なんでおわねーんだ」
「縛られたままの奴が何生意気いってんの。まずはあんたを助ける方が先!それに」
ほのかは指笛をふく。
「……わたしも逃がすつもりはないよ。狐綿ちゃん。やっちゃって!」
ほのかは、ラクーンと自分を包むように結界をはる。
小屋が見下ろせる少し離れた山の中物陰に隠れていた狐綿が小声で呟く。
「指笛が聞こえたら撃つ。指笛が聞こえたら撃つ。指笛が聞こえたら。」
甲高く鋭く聞こえた合図に、狐綿は応える。
「撃つ!!!狂乱茸祭!!!!」
ばぼん
ばぶん
ばぼん
「なんだ?なんの音だ!」
サングラスの男は辺りを警戒し、銃を構える。近くの小山から、飛んできた緑の閃光。横に跳んで躱すもなにも起きない。
「は、なんだ?ただの光?!いや、」
地面が揺れている。ざわざわと嫌な感じだ。
「?!!」
地面から人の背丈をこえるきのこが突然生え、男の行く手を阻む。銃を撃つも意味が無い。
「この、魔法」
緑の閃光の通ったルートはキノコに毒されていく。背後では建物を破壊して、伸びていく。
男の足元からも勢いよくキノコが生え、上空に弾かれる。
「くっ」
空中で身動きが取れない。
「ミッキュ。やるよ。何秒」
「3秒ッキュ」
「十分、魔装!」
「は?」
ラクーンは、驚く。魔装まで到達する魔法使いはかなり限られている。中央の精鋭たちだ。こんな片田舎だと、ただそれだけで騎士団長になれるくらいのもの。魔法使いたちの憧れだ。それをこんな一介の教師が扱えるものなのか。
「ちょっとだけ、翠鹿戦乙女!」
右腕だけに魔力を圧縮させた魔装。ほのか足元に草木が芽吹く。翠色の美しい篭手がほのかに力を与える。その腕から伸びた蔓が弓矢を作る。部分魔装なんて聞いたことがない。
「なんなんだ、あんたは」
「ん、君の先生さ。射抜け!!翠石鏃!!」
打ち出された翠の矢尻は男を射抜こうとする
「ぐ」
体を捻って躱すが、スーツが破ける。
「惜しい。」
「いや、十分だよ」
切り裂かれた布からみるみる植物が生え始めて、男を包み込む。
「観念して、つかまんな!」
「……断る。」
男は鎖につながれた指輪を皮袋から取り出す。
「滅魔」
彼の空間にあった植物が一瞬で消える。指輪をつけ変えて、先程の指輪を皮袋にしまう。次の指輪が光り出す。
「また会おう。今度はおれたちが、捕まえる番だ」
男はそういいのこして、瞬く間に居なくなった。




