新たな敵
サングラスのスーツの男は、漏れ出る笑みを隠しきれない。
「ねぇ、ミッキュ、言ってやってよ。デートに誘うなら、もっと洒落た文句を考えなさいよってね!」
髪をかきあげ、ほのかは言い放った。
「……」
「……」
「……」
「素敵なレディーのわたしをデートに誘うなら、もっと洒落た文句を考えなさいよってね!!!」
「……」
「……」
首を傾げる一同。
「何とか言いなさいよ!!」
「いや、うーん、まぁ、どんまいっキュ」
「クソが!!」
ほのかが地団駄を踏む。一瞬下がった身体に痛みと熱さを感じる。
「意外にあたらないもんだな。」
「なんだ、あれは」
ラクーンは男の右手に持たれた黒光りする杖を見つめる。金属製の本体に、指を掛けている。
「銃?!なんで?」
「じゅう?なんだそれ」
男は狙いを定めたまま笑う。
「君も俺たちの世界の住人なのか?なら話がはやい。君がこちらにいるなら、分かるだろう。あちらのものがここにあっても、何らおかしくない。」
「でも、女王様の魔法で、危険な物はこちらには出入り出来ないようにって!」
「ははははは!!なるほどだから、手間取るわけか。そういうことか。なぜ、自分が持ち込めたのかがわかった。」
何故かひとりで納得した男。
「やりやすくなった。いま、ここで無茶をするよりも、持ち帰ったほうが良さそうだ」
「気味が悪い。ミッキュ。どう考えてもここで逃がす訳には行かなさそうね。魔装…」
残り魔力を総動員すれば、数秒あれば、仕留められる。
「いや、逃がしてもらう」
「?」
銃口がラクーンに向けられる。
「く、」
「?」
「役にたったぞ。少年。」
「な、なにしてんだよ!あんたなら、こんなやつ一瞬でやっつけて」
微動だにしないほのかに叫ぶ。
「無知だな。いまは、おれのほうが優勢だ。」
男は静かにドアから出て行った。




