5大貴族
村はずれ、高い丘にある古い家。随分昔に放棄された家屋はあちこちが傷んでいた。ロウソクの炎だけが唯一の明かりだった。
「は、早く俺を解放しないと、大変なことになるぞ」
「あーはいはい。うっせぇな。昼から今までなんも起きてないぜ。思い上がんなクソガキ」
ラクーンは蹴飛ばされる。
「ご、ごほ、ごほ、おれにこんなことして、タダじゃすまないぞ」
「タダじゃすまないなら、金でもくれんのか、ギャハハ!」
「やめろ、お前ら」
ガタンと、ラクーンの前に椅子を置き、見下ろす形で、男が、座った。夜なのにサングラスをかけた、黒いスーツを着た男。魔法国の外の人間か。1度か2度、屋敷で見かけたことがある異界の服。
「……おい、小僧。お前貴族だな」
「は、話が通じないやつばかりではなさそうだな。わかったら、縄をほどけ!」
「勘違いするなよ。お前らが強いのは、守られたルールのある世界の中の話だ。いまは、ただのガキだよ。自惚れんな。そんなことも教えてくれなかったのか。お前の父親。ブンブク家は危機感がない。」
「なっ」
ラクーンの首から下げているネックレスを掲げる。
「ダンナ。ブンブク家ってーと、中央の貴族ってことか。魔法生物を管理してる。」
「そうだ。」
「身代金すげーだろうな」「バカ!縛り首だぜ俺たち!」「逃がしちまおう。ダンナ!」
彼はそれを床に投げ、見下ろす。
「魔法生物。つまり特別監視魔法危険生物。そいつらの管理や封印を担ってた貴族。緑の牡鹿っつう特級の魔法生物を逃がして以降、信頼を失墜した没落貴族だがな。さっきも言ったろ。今はただのガキだ。息子を学園に入れる金くらいはまだあったか」
「うるさい!うるさい!俺が立て直すんだ!!」
「お前、召喚できる魔法生物は何体いる場合によっては使ってやらんこともない。お前何番まであけられる?」
「一体」
「召喚しろ」
首元にナイフを当てられる
「……召喚12(トゥエルブ)」
呼びかけに応じた魔法生物があらわれる。
「ぷゅっ?」
その姿を見た賊たちは笑い飛ばす。
「ガハハハ!!豚じゃねーか!!可愛い子豚ちゃんじゃねーか!」
「丸焼きにしてやろうか!!俺たちの飯をありがとうよ!」
「金もない、力もない、吠えてるガキに何ができるってんだよ!はははは」
黒スーツの男は、そのちいさな茶色の魔法生物を見つめ
「いらんな」
と、吐き捨てた。
「没落貴族、吠えるだけのガキ、魔法の熟練度もない。」
「ぐ、いつか、絶対に、見返してやる!!」
「甘えよ全て。そのいつかすら来ずにてめぇは終わる。」
「よく言ったああ!!ラクーン!!」
ドアが破壊され、飛び込んできた女。
「うちの生徒が世話になったな。全員ぶちのめしてやるから、覚悟しな」




