表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行きはこちらです  作者: 神に選ばれし村人
第一章 念願の異世界!
6/46

第五話 救助の対価

「ふう、やっと撒けたみたいだね」

「みたいだな。 ったく、余計なことすんなよ!」

「痛いよトウヤ! でも走ったおかげで大分進んだしいいじゃないか」

 

 余分な体力を使わされた俺は、パロマの頭を殴ってやる。

 蝸牛と言えど流石はモンスター。

 追いかけてくる速度が割と速くて、正直かなり怖かった。

 どっかのRPGゲームの王冠被った海藻なんか、マイク持ってこっちの行動をハメてくる奴なんていたし、あまり見た目に捕らわれない方がいいのかもな。





 ケーブマイマイから逃げて少し歩くと、鉄鉱石が生成されるという場所まで来た。

 近くには地下3階の階段がある。

 またモンスターに絡まれるのも面倒なので、さっさと鉄鉱石を探して帰ろう。



「んー? おかしいな。 トウヤ、こっちは見当たらないよ」

「そっちもダメか。 俺の方も全然見つからねえ」


 鉄鉱石があるという場所の周辺を、隈なく探すがそれらしきものは見つからない。

 先に取りに来ていた人がいたのだろうか。

 最近では、鉄鉱石なんかを取りに行く人は滅多にいないと聞いたのだが、運が悪かったのだろう。


「仕方ない。 帰ろう」

「へーい」


 無い物はどうしようもないので、俺たちは戻ることにした。




「はあ、折角来たのに、先に取られてただなんてがっかりだよ」

「仕方ないさ。 俺達だけが冒険者ってわけでもないし、こんなことくらいあるだろ」 


 ゲームでも情報を聞いてその場所へ向かっても、既に先駆者がいるというのは定番である。


「・・・・・・トウヤってまだレベル低いのに、結構こういうの慣れてるような感じだよね」

「そう見えるか? まあこう見えて、別の場所では色々な冒険を熟してきたからな!」


 こんなことくらい、俺にとっては慣れっ子だ。


「すげーな! その話、聞かせてくれよ!」

「え、えっと。 長い話になるからまた今度な?」


 そんなことをパロマと話しながら洞窟を引き返していた。





「助けてくれええええええ!!」

「「!?」」


 やがて階段が見えてきた頃、上の方から男の大きな悲鳴が聞こえてきた。


「誰か魔物に襲われてるかもしれない。行ってみよう!」


 俺たちは急いで 階段を駆け上がった―――!






 地下1階へと上がると、中年くらいの男が、骨の騎士のモンスターに襲われていた。

 骨の騎士、スケルトンナイト。

 手に持っている骨で、打撃系の攻撃を仕掛けてくる、アンデットに属するモンスター。

 この洞窟の地下3階に生息しているモンスターらしいのだが、どうしてこんなところに?


 男は逃げることができず、荒い息を吐きながら仰け反っており、そこへ2匹のスケルトンナイトが、カラカラと音を鳴らしながら歩み寄り、今にも襲い掛かろうとしている!


「おらあっ!! !? こいつら骨だけあって硬えな」


 俺はスケルトンナイトに攻撃を仕掛けるが、ダメージが通っている様子はない。


「た、助けてくれ! 鉄鉱石を取りに行ったら、下の階段からスケルトンナイトが上がってきて襲われたんだ!」

 

 確かに1つ下の階層くらいなら、人の気配を感じて襲い掛かってきてもおかしくない。

 しかしこんなとこまで連れくるなんて、面倒なことをしてくれたな。

 ん、待てよ?


「おっさん、鉄鉱石取りに来たって言ってたよな。 こいつら倒したらその鉄鉱石分けてくれないか?」

「? ああ鉄鉱石の一つや二つくれてやるよ!」


 よし、目的の物が手に入れる目処はついた。

 問題はこいつらをどう処理するか。

 スケルトンナイトの狙いは、攻撃を仕掛けた俺の方に向けられている。


「パロマ! 俺はこっちの相手をするから、お前はそっちを頼む!」

「オッケー! くらえ! 『ソードカッター』!!」


 パロマが叫んで剣を振ると、円形の薄い衝撃波がスケルトンナイトに襲い掛かった。

 いつの間にこんな技を覚えていたのか。


「グッ、ガッ!」


 その衝撃波に当たると、スケルトンナイトは態勢を崩した。

 しかしすぐに立て直し攻撃態勢へと戻る。

 俺も何度がスケルトンナイトに剣を当てているが、平気で攻撃を返してくる。


「ダメだ! 俺らの武器だとビクともしねえ!」


 パロマの特技は怯ませる程度だし、俺の攻撃もダメージが入っているような様子はない。

 これはかなりマズいな・・・・・・。

 炎と電気の魔法も、アンデットの骨相手には効きそうにないし。



 俺とパロマはスケルトンナイトに攻撃を続けるも、向こうからも平気で殴りかかってこられ、体力を消耗していた。


「くっ、トウヤ、回復魔法頼むよ」

「わかった! 『ヒール』!」


 苦しそうなパロマの声を聞いて、俺は回復魔法を唱える。

 俺の魔力もそこまで多くないし、回復しながらだとそのうちやられてしまう。


「サンキュー!」

 

 こちらからは攻撃が通らず、一方的に攻撃を受けている状況で、こいつらを倒すのは難しい。

 鉄鉱石を諦めて、おっさんだけ連れて逃げようかと思っていたその時。


「あれ? あいつらの体が崩れてるよ」


 パロマに言われてスケルトンナイトの方を見てみると、何故か体の一部が崩れている。

 今俺は回復魔法を使っただけなのだが。


 ・・・・・・

 

「そうか!! くらえ! 『ヒール』!」

「トウヤ!?」


 俺はスケルトンナイトに向けて回復魔法を放つと、スケルトンナイトは骨の体を崩していく。

 さっきパロマに回復魔法をかけた時も、僅かながらダメージを受けていた様子を見せていた。

 なら、直接回復魔法をぶち込んでやれば倒せるはずだ!


「見てみろ! アンデットのこいつらには、回復魔法が有効なんだ!パロマはさっきのやつで怯ませておいてくれ!」


 パロマに隙を作ってもらい、俺の魔法で攻めれば何とか倒せるはずだ!


「わかった、『ソードカッター』!!」

「おらおらああああ! 『ヒール』!『ヒール』!『ヒール』!!!」




「・・・・・・あいつら、中々強かったね」

「だな。 俺も、もう魔力切れだ。」


 残っている魔力で、撃てるだけの回復魔法を放ち、スケルトンナイトは跡形もなく崩れ去っていった。

 それぞれ特技と魔法で魔力を使った俺たちは、かなり疲れていた。

 おかげでレベルも上がったのだが、スキル振りは町に帰ってからにしよう。



「よし、んじゃおっさん、約束通り鉄鉱石をもらう・・・ぜ・・・?」

「トウヤどうしたの? あれ、あのおっさんいないね」


 辺りを見回すが、さっきの鉄鉱石を持っていた男が見当たらない。

 ということは・・・・・・。



「戦ってる最中に逃げやがったな! あのやろおおおおおおおおおお!!!」

「わわ、待ってよトウヤー!」


 俺は怒りに戦闘の疲れも忘れ、洞窟の出口へと走り出した。






 町の鍛冶屋にて。


「ほう、これはまた結構な量を持ってきたな」

「今日はいつも以上に鉄鉱石があって、全部持って帰ってくるのが大変だったよ」


 鍛冶屋の年老いた爺さんと、大量の鉄鉱石を持った男が会話をしていた。


「そうか、全部取ってきちゃったのか。 あの若い子らも気の毒にな」

「ん? 若い子ら?」

「ああ、剣を鍛えたいって言って、鉄鉱石を取りに行った二人の若いのがいてな。 ああ、今丁度来た様だ。 あいつらだよ」


 俺達は、鍛冶屋目掛けて猛ダッシュで走り、振り返った鉄鉱石を持った男の胸倉と掴む。


「おい!! 人に鉄鉱石渡す約束をして、モンスターの相手を頼んどいて逃げるとはどういうことだよ!!!」

「そうだよ! ずるいよ!」


 俺とパロマは、大声で男を怒鳴りつける。


「おわっ!?ス、スマン! ほら約束の鉄鉱石はやるよ!」


 男は声を震わせながら、鉄鉱石を俺とパロマに差し出す。


「よーしよし。 それでいい。 次こんなことをしたらこんなもんじゃ済まさないからな? 覚えとけよ?」

「そうだそうだー!」

「ひっ、わかりました。 すいません、すいません」


 ズイっと顔を近づける俺に、男は後ずさりしてペコペコ頭を下げる。

 人が苦労して助けてやったのに、逃げようとするとは飽きれたおっさんだ。



 

「ほら、できたよ」

「「ありがとな! おっちゃん!」」

「あいよ! また鍛えて欲しい物がありゃ、いつでもおいで!」


 お金を渡して、それぞれの剣を受け取る。

 色々あった俺達だが、何とか剣を強化してもらえた。

 鉄鉱石を組み込まれて鉄の剣となったこの剣は、以前よりも目に見えて重さが増した。

 これで大分攻撃力も上がったはずだ。

 

 洞窟を探検して町へ戻り、剣が強化し終えた頃には昼を過ぎていた。


「トウヤ、今日はどうする? クエストに行く?」

「いや、今から行くと帰りがかなり遅くなりそうだから、ギルドで買い物していこうと思う」


 お金には多少の余裕があるので、モンスターの本を買いに行こうと考えたのだ。

 弱点何かが書かれている場合もあるので、冒険する上では、持っておくに越したことはないだろう。




「おお、本当に色々載っているな。 くだらない解説もついているが」


 俺は『<必見>冒険のお共に!レコード先生のトゥロリテモンスター図鑑』というのを手に取ってパラパラと見ていた。

 そこにはモンスターの姿から、生息地や種族、使ってくる特技、苦手な属性等が書かれていた。


 俺はその本を手に取り、支払いのところへ向かおうとしたのだが、


「―――トウヤ。 その本、年数が変ですよ?」


 少しだけ聞き慣れた女の子の声を聞き、本の裏を見てみると、今から十年前の日付が書かれていた。

 それを確認して後ろを振り返って見ると、声の主はシルクだった。


「・・・・・・こんにちは、お買い物ですか?」

「ああシルクか。 凄いな。どうして今の年の物じゃないって気が付いたんだ?」


 俺が本を読んでいるのを見えない角度にいたシルクに、不思議に思って聞いてみる


「え・・・・・・。 えーっと、私もさっき同じ本を見ていたので・・・・・・」

「そうだったのか。 でも他の人が間違えて買っちゃうと困るから、こういうのは店員にちゃんと渡しとかなきゃだめだぞ?」

「う、うん。 ごめんなさい」

 

 俺は十年前の日付の本と、本来買うはずだった『最新版』と書かれた本を持って支払いを済ませる。

 シルクもああ見えて、ちゃんと子供っぽい一面もあるんだな。

 一緒に旅することになる身としては、歳相応じゃない行動よりはこういう方が落ち着く。


「――・・・・・・あって・・・・・・った」

「ん? 何か言ったか?」


 周りの声で聞き取れなかったので、聞き返すがシルクは笑顔で、


「いえ、何でもないですよ」

 ・・・・・・?

 


「ありがとうございました~。 またお越しくださいませ」





 その後、パロマとシルクの二人と別れた俺は、ギルド内の食堂で夕食を食べていた。

 普段は宿屋の食堂で、夕食は済ましてしまうのだが、道具屋を見回っていたら外もかなり暗くなっており、腹も減ったので、近場で済ますことにした。

 宿屋の飯も美味しいが、この食堂でしか食べられない、強めのモンスターの素材を使った飯も中々美味い。

 特に、この人喰い牛のステーキは味がよく濃縮されており、幾らでも食べられる。

 ・・・・・・料理名に入っているモンスターの名前で、僅かでも人肉が混じっていないかと不安になるが、口に運べばあまりの美味しさに気にならなくなる。


「あら、お兄さん。 お隣で食べてもいいかしら?」 


 声がする方を向くと、肌は紫色で、ピエロの様なカラフルで奇抜な服を着て、耳と顎が尖っているやせ細った長身の男が話しかけてきた。

 どう見ても人外だが、異世界ならこんな姿の者が暮らしていてもおかしくないのだろうか。


「ど、どうぞお構いなく」

「優しいのね。 感謝するわ~」

 

 男はカチャカチャと小さく音をたてながら、食事を食べ始める。

 人外云々よりもオカマ系か、俺の苦手なタイプだ。

 許可したのは良いが、早く食事を済ませて出て行ってしまおう。

  

 お互い無言で目の前の食事を食べているのだが、隣のオカマがチラチラとこっちに視線を向けてくる。

 気になって食べ辛いからやめてほしい。


「そういえば、お兄さんはトウヤって名前なのよねえ?」

「はあ、そうですが」


 会話をすることなく食事を食べている中、男は話しかけてきた。

 俺はここに来てまだ日の浅いのに名前を知っているのか。

 いや、そこそこクエストをしていれば話題にでもなるのだろうか。

 

 すると男は突然、俺に顔を近づけてきた。


「へえ、なるほどねえ。 いいじゃないの」


 男はそんなことを言いながら、俺の目の前で頷きながら微笑む。

 うう、気持ち悪い・・・・・・。


「あ、あの、変な団の勧誘とかならお断りですよ?」


 俺は警戒する様に言ってやると男は姿勢を戻す。

 


「ああ驚かせちゃった? ごめんね、あまりにも私好みの顔してたから。 うふふ」

「はあ・・・・・・」


 耐えろ、俺、平常心を保つんだ。


「あなたこの町を出たら色んな場所を周るのよね?」

 

 こいつそんなことまで知っているのか・・・・・・?

 一体どこでそんな話を。

 こうして見ると不気味という印象しか感じない奴だな。


「そうですが、何でわかるんです?」


 あまりこいつには食いつきたくないので、自然を装ってシンプルに問いかける。

 それを聞き男は少し間を空けると。


「んー、女の勘って奴かしら?」

「・・・・・・・・・・・・」 

 


 容姿や口調いい、向かい側ではなく隣に座ってきたことといい、こいつは関わっちゃダメだ。

 俺のことを何かと知っているのも気持ちが悪い。

 俺は目の前の食事の残りをさっさと食べ終えて、風の様に店を出た。




「また会いましょう。 うふふ」

 


 ・・・・・・二度と会いたくないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ