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no't ヒーロー  作者: 陽向アカネ


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3-1話 緑頭


 「こちらは、上空からの中継です。匿名からの通報で、以前、ライト街の女性を救助した、自称ノットヒーローの男と、シン・リン、コンヒーローが、戦っている様子です」



 上空から中継を流され、テレビに映る俺は、何も知らず、闇雲に戦っている。



 「そろそろ、疲れてきたんじゃ無いか?」


 数え切れないほど攻撃を与えているのにも関わらず、未だにダメージが無さそうだ。



 「いーや、まだ肩慣らしに過ぎねぇよ」


 と、強がっておくが、通常の汗と冷や汗が相まって、ポタポタと地面に落ちて行く。


 その時、後ろから一つの声が聞こえた。


 

 「燃やすんです!!」



 声と方向で誰が言ったのか、すぐに分かった。


 燃やすって、何だ? 俺の能力は火をつかえねぇし…。いや、ちょっと待て。摩擦か!


 頭の中で、木を擦り合わせ、煙を放ち出す映像を思い浮かべながら、シン・リンの攻略を見出す。



 アイツ、まだ居たのかよ。でも、サンキューな。これで俺は勝てる。



 と、背中にグッドポーズを出し、感謝の意を示す。



 「はいはいはい、余裕をかましてるお兄さん。行くぜ〜…」


 「な、なんだ!? 何すんだ!!」

 「焦って得た答えなど、俺には通用しないぞ」



 今から何をされるか分からない恐怖を抱えたコンと、俺の攻撃を受け止め続け、自信がついたシン・リンは余裕の構えだ。そんなシン・リンに一泡吹かせてやれると思うと、にやけが止まらない俺。


 「ちょ、おま、だから何を…」


 どんどん焦って行くコン。そんなコンの言葉を待たずして、シン・リンの頭を軸に、コンをしならせながら巻きつけ、頭と足をしっかり持つ。続けて、コンを高速でシン・リンに擦り合わせた。


 「あちっ! 熱いってマジ!」


 「おおおおーーい!! 待て、それはいかんぞ!!」



 シン・リンが何も手を出せないのは理由があった。頭から成長した木の重量が大き過ぎて、動けないんだ。余裕そうな素振りをしていたのもその為だろう。自らの攻撃が放てない事に、目を向かせない為の戦術。本来なら、俺の身体は、ガラ空きで、今攻撃されたら、攻撃の効果が無くとも、後ろに吹っ飛ばせるぐらいの事は出来る。そんな俺に攻撃が出せないのも、体幹がズレるだけで、頭上の木を保つことの出来ない状態になる事が、頭の悪い俺でも分かった。



 「うらうらうらぁぁぁあ!!」



 全力で擦り合わせた結果、煙が立ち始めた。



 「このままだと、お前ら燃えちまうけどいいのかぁぁぁあ?」


 

 

 「シン・リン!! 早く降参しろ!! もう俺が持たない!」


 「チッ…。 致し方がない。降参だ」



 俺の挑発に二人は白旗を出した。本来なら、ここで止めて、俺の勝利が決まる。だが、俺様はそんなには甘くない!


 「降参だって言ってんだろ! 熱っ!! おい!もうやめろ!」


 「あぁ、もう。止めてくれ…」


 

 「そうだな。そろそろ消火する頃合いか」



 俺は、擦り合わせる手を止め、コンを頭上に投げる。そして、美しい足で力一杯踏み締め、投げ飛ばされたコンよりも高く飛び上がり、



 「これでシメだーーー!!」


 コンを巻き込んだまま、重力と共にそのまま、シン・リンに向かって、拳で渾身の一撃を与えた。


 着き始めていた火は、俺の攻撃の風圧で一気に消火される。



 「よっしゃあああーーー!! この俺様が、ヒーローに勝ったぞー!!」



 歴史的瞬間を味わった俺は、汗と混じりながら、一筋の涙が頬を伝った。



 後ろから、ゆっくりと拍手が聞こえる。


 「なかなかよかったんじゃないですか。まぁ、僕のアシスト無しでは勝てなかったでしょうけど」


 褒めながら嫌味も忘れない緑頭が、茂みから現れた。


 「動くなつったけどよう、危ねえんだから、タイミング見て逃げろよ」


 「いや、ちゃんと言ってくれないと分からないですよ。危ないのに動くなって言ったんですから、何か策でもあるのかと思えば、ワンパターン。これでよく、ヒーローより目立ちたい野望を持ってられますよね」


 口を開けば嫌味口。やっぱりコイツとは仲良くなれねぇと思いながらも、


 「うるせぇよ。まぁ、助かった。ありがとうな」


 感謝の気持ちを伝えた。



 「そうですね。人間違いをした挙句、協力してあげるなんて、僕って本当に優しいですよね」


 「前言撤回。今すぐどっかいけ! このマリモ野郎!!!」


 緑頭に飛びかかろうとした時、上から中継していた記者達が降りて来て、俺を一斉に囲った。



 俺様の晴れ舞台のシメをする為、緑頭をぶっ飛ばすのは、今回だけ大目に見てやろう。



 そう、思いながら記者からの第一声を心待ちに待つ。



 「おめでとうございます! ノットヒーローがヒーローに勝つ快挙を今成し遂げた感想… ん? はい、ええええっ!?」


 記者が俺にマイクを向けた途端、外部からの連絡があり、一時中断。そして、空気が一変する周りをよそに、俺は決め台詞を何にするか考えていた。

お読みになって頂きありがとうございます。

次回も引き続き宜しくお願いします。

応援して頂けると幸いです。

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