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no't ヒーロー  作者: 陽向アカネ


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6-2話

 

 「よし、Cランクの小僧と、Bランクの小僧は、これで終わりだ」


 「はい…」

 「…」


 グリは返事をしていたが、俺は、1年間のやってきたこと、関わってくれた人達への申し訳無い気持ちと、悔しく情けない気持ちが俺の喉へ蓋をした。



 「アクマ!! グリーン!! これからは、A sエースランクだ!」


 「……」



 予想外の展開に、キョトンさせられる俺達。喜びたかったが、Asランクってなんだ?



 「なんだよ。反応が薄くて、本当の意味で終わりにしようか迷っているんだが」



 「いやいやいやっ!!」


 「嬉しいですよっ!? でも…」


 「でも、なんだね?」


 本当は喜ぶべきところなのだが、会長に試された試練は果たせないまま、Aランク達成、いやAsとは何か分からないまま、素直に喜べない俺達。


 「あの…」


 「俺、認められたと思ってないっす! ごまめでノットヒーローを継続させてもらえるほど、腐ってないので、ビシッと言ってください!」



 グリが言い始めた時に、割り込んで俺の思いを話した。


 「あー。それね。勘違いをしているようだが、さっきまでのは全く関係ないよ。元々、君達には、継続してノットヒーローをやっていってもらうつもりだったからね」



 「えぇーーー!!!」



 俺達の1年の苦労をフラッシュバックされながら、安心と驚きで腰が抜けてしまった。



 「誰から何を聞いたのか分からないが、君達は、何ランクだったとしても、継続してもらうつもりだった。ダートンと毒リンゴから特訓をしていると聞いて驚いたよ。そして、嬉しかった。特にアクマは、あのままでは勿体なかったからね。その上で、先の能力を見させてもらった結果、AランクとSランクの間、Asエースランクに昇級させる。そんなものは無かったが、CランクのアクマをSランクに昇級させるのは、周りが黙っていないだろうからな。本当はSランクにしてあげたい気持ちは山々なんだが、急遽、新しく決めたAsランクに昇級だ」


 1年間の特訓が無駄じゃ無かったことを聞き安心した俺達は、今日一日休むという任務を受け、本部を出た。


 ……。



 よーーーっしゃあーーーーー!!


 パンッ!!


 グリとハイタッチを交わし、一番にこの報告をしたい人物に連絡を入れる。



 プルルルル…


 『この電話番号は、現在、使われていないか、電源が入っていない為、お出になりません…』



 アイツ…。何かあったのか?



 ダートンへ連絡を入れた俺は、嫌な予感で胸をざわつかせていた。そこに、


 「おーーい! お疲れさん」


 毒リンゴとシップスがやってきた。



 場所を移し、シャドーダイニングへ向かった。店に着くと、既にお祝いムードだ。きっと、毒リンゴ達も、ランクに関わらず、ノットヒーローを継続できる事を知っていたようだ。さらにランク昇級があった為、このような会を開いてくれたんだろうが、俺はダートンの事で頭がいっぱいだ。


 「毒リンゴ。ちょっといいか?」


 俺はグリを店に置いて、毒リンゴを連れ、店の外に出た。



 「主役が店の外に出てどうする?」


 「あ、いや…」


 「はぁぁ。 ダートンに連絡したのか?」


 「おう。だけど、繋がらなかった。何か知ってるか?」


 「特訓の邪魔になると思って、言わなかったんだが、結構危ない橋に渡っているようだぜ」


 「なんで早く言ってくれなかったんだよ!」


 「言っていたら、今のランクには到達しなかっただろうよ。戦う準備ができていない奴が紛れ込んでも、邪魔になるか相手にされないだけだ。生きて帰って来れるかも分からない」


 「…わーったよ。でも、ダートンは今どこに」


 「ライト街だよ」


 「ライト街って、任務が終わったら帰ってくんだろ? それまで待つしかないか…」


 「そうでもなさそうなんだよね」


 「シュークリーム? 何故ここに」



 突然シュークリームが現れた。



 「あぁ、俺が呼んだんだよ。今日の結果が出たら、ダートンの異変に気づくだろうと思ってよ」


 「シュークリーム、ダートンの事知ってんのか?」


 「元々、名前は知っていたよ。あの実力で知らない人は居ないよ。でも、毒リンゴさんから頼まれて、ダートンの事を調べていたの」


 「それで何が分かったんだ?」


 「会長からの任務で、今は、赤リンゴの事務所に潜入している。会長に聞いても何も教えてくれなかったから、私の私見だけど、帰りたくても帰れない状況になっている可能性が高い。赤リンゴの事を詳しく調べたら、結構やばい事が分かったんだよね」


 「赤リンゴ…。アイツって、ヒーローの中でも上位ランクの人気ヒーローだけどよう、アイツ1人潰すのに、潜入しなくてもダートンなら一瞬で潰せるんじゃないか?」


 「そんな簡単な話じゃなかったのよ。赤リンゴは、グーレ街の住人だったの。グーレ街はライト、シャドー街に対してどちらにも属さないはずなのに、ヒーローとして活動をしている。さらに、裏で、ノットヒーローへ、仕事を根回ししている話も聞いたわ。中立の立場を利用して、街二つを掻き乱そうとしているの。グーレ街がこの二つの街を支配しようとしているのかもしれない」


 「確かに簡単な話じゃ…ないな…」


 「アクマ、無理に考えようとするな。スカスカの脳が粉々になっちまう。シュークリーム、もっと分かりやすく説明してやれ」



 俺の頭では整理ができなかったが、段階を踏んで説明を受け、理解した。


 「でもよう、俺らからすればグーレ街に支配されんのは困るけどよう、民からすれば、争いのない街になるのはいいんじゃねぇか?」


 「え?」

 「え?」


 「なんだよ…」


 2人は驚いておきながら、言いづらそうに


 「アクマがまともな事言いだしたから、ちょっと引いた」


 「俺も同感だ…」


 と言った。


 引いただと? 俺だって真面目な話ぐらいはするぜ。本当、失礼な奴らだぜ。


 それからも話は続き、長話になり、グリがこっちの様子を伺っているが、気を遣ってまた店の中に戻っていった。


 「民からすれば、赤リンゴの正体がバレたとしても、好感を持てると思う。だから、ダートンは身動きが取れなくなったんだと思う。しかも、争いが起きないのが平和なわけじゃない。もちろん、争いが起きない事で平和に繋がるのは確かなんだけど、赤リンゴの企んでいるのは、独裁する準備をしているという事。単独で行っている事なら良いけど、グーレ街のトップ、ナチュ会長の指示なら、軽率な行動は取れない。少なくとも今は、ライト街とシャドー街の中立を行っているおかげで、民達は比較的安全に暮らせているから。私達からすれば、民なんてどうでもいいけどね」


 「ジュラ会長は、ノットヒーローとして、民と交わる事を禁じているが、ジュラ会長本人は、民の事を悪く思っていない。だから、民を危険に晒す行動はさせれないという所だろう」


 シュークリームと毒リンゴの言葉を聞いた俺は、さらに疑問が湧く。


 「前にも後ろにも行けない状況で、何故、ダートンは帰って来ないんだ? あそこに居る意味があるのか?」


 俺が話すと、2人はため息をついた。2人して俺の事を馬鹿にしていることに腹が立つが、大人になった俺は、話を聞いてやる。


 「ダートンが帰れないのは、二つの可能性があるの。一つ、赤リンゴの側近、メモリーが、記憶を書き換えた。二つ目は、ダートンの意思でそこに残っているか」


 「メモリー!? そんなやつが、赤リンゴの側近にいるのか。やっかいな奴の所に行ったもんだぜ…」


 「特に、自我が強い人ほど、メモリーの効果は強くなるらしいから、アクマ、アンタが一番危険と言っても良いぐらい。だから、1人でダートンを取り返しに行くなんてしないことね」


 「二つ目のダートンの意思で残っていたら尚更だ。お前が1人で乗り込むと、足手纏いになって、計画が狂うかもしれない」



 この後からでも乗り込みに行こうとしていたのが、見透かされていたかのように、2人は俺に釘を刺してくる。


 「わーったよ。でも、このままほっとくわけにもいかねぇだろ?」


 「そうね」


 「あぁ、今、案として出ているのが、赤リンゴの事務所が手薄になる時。それは、エネミーが暴れている時だ。大した事ない騒動では、赤リンゴは出勤せず、下っ端を使っているからな。そこで、俺達が乗り込む。ダートンが自分の意思で残っている場合、話をして、場合によっては、撤退する場合もある。だが、ダートンが記憶を書き換えられ、洗脳されていた場合は、赤リンゴを潰し、企みを洗い出し、ダートンを取り返すという案だ」


 「よっしゃ、それで行こう! 決行は明日か?」



 ゴツン!!



 「いってぇー! 何すんだよ!」


 2人が俺にゲンコツを下し、俺の頭に、二つの瘤が出来る。


 「大人数では怪しまれるから、少ない人数の方がいいけど、さすがに私ら3人じゃ、何かあった時、情報を持って帰れないでしょ! 少なくとも後、2人はいる」


 「あー、じゃあ、グリとシップスでいいんじゃね?」


 「グリは良いけど、シップスはダメだ。俺がいる時点で、シップスが同行していると、完全に警戒される」


 「シュークリームだっているじゃんかよ」


 「あー、私、自慢じゃないけど、影隠しながら活動してるから、たぶんヒーローには私の存在を知られてないのよ。情報収集の時も、念のため、男装して潜入したから」


 「いや、門番がグーレ街の人間だろ? 赤リンゴはグーレ街の人間なら、門番と、擦り合わせる事だって可能だと思うんだけど違うのか?」


 「なに言ってんのよ。私をみくびらないでくれる? 存在するノットヒーローに化けて潜入するに決まってるじゃない」


 「いやいやいや、さっきまでの話で、そこまで頭、回らないぞ? ってか、嫌な予感がするんだが、俺に化けたりしてないだろうな…?」



 「まー、それはさておき」


 「おーい! さておくなー!! だから、俺がライト街に出ようとしたら、サランダさんが厳しい訳だよ。出入りが多いと怪しむから!」


 「まー良いじゃない。問題を起こせば、ジュラ会長に怒られるだけなんだから」


 「そのために1年間、特訓したんだけどな!? ジュラ会長の信用は取り戻せても、サランダさんの信用も必要だろうが」


 「大丈夫だ。アクマ。お前がどう頑張っても、サランダは、お前を信用しない」



 俺の指導者だったはずが、全くこっちの肩を持ってくれない毒リンゴ。


 ん? 毒リンゴって…


 「おい、毒リンゴ。お前、赤リンゴと繋がりあるんじゃないのか?」


お読みになって頂きありがとうございます。

引き続き頑張って参ります。

応援して頂けると幸いです。

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