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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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運命の衝突

✦ 象徴的な序章


戦いは、剣の音で始まるのではない——

爆発に先立つ、長い沈黙によって始まると言われている。


その沈黙の中で——

運命は見えない影のように形を成し、

大いなる力は、まるで結末を知っているかのように動き出す。


だが、ただ一つ変わらない真実がある——

嵐の中心に生まれた者は、

世界の救いとなるか、

あるいはその終焉となるかだ。


本編


谷——

もはや、かつての姿ではなかった。


大地はひび割れ、

空気は焼けつき、

爆発の痕跡が、今なおあらゆる場所で燻っている。


その地獄の中心で——

シグランは立っていた。


身体は震え、

呼吸は乱れ、

視線はただ一人——

アズロンへと向けられている。


「……なぜ……生きている?」


かすれた声が漏れる。


一歩——

アズロンが進む。


静かに。

揺るがず。

まるで先ほどの出来事など、存在しなかったかのように。


さらに一歩。


「……惜しかったな」


ゆっくりと手を上げ、掌を見る。


「……恐ろしい技だ」


短い沈黙。


そして——微笑む。


「……あいつに似ている」


その瞳がわずかに光る。


「お前の父親……ハマンにな」


上空で——

スカイが軽く笑う。


「さすがだ、ボス」

「本当に……強くなったな」


アズロンは顔を上げる——

闇のような笑み。


「さあ……」

沈黙。

「次は俺の番だ」


低い笑い。

「はは……ははは……」


シグランは立ち上がろうとする——

だが足は動かない。


「……くそ……」

胸を押さえる。


「……この役立たずの身体が……」

呼吸が震える。


「……まだ耐えられないのか……?」


その瞬間——

空気が変わった。


アズロンが手を上げる。


闇が集まり、

圧縮され、

渦を巻き——


黒い球体が生まれる。

シグランの頭上に。


膨張し、

広がり、

光を呑み込む。


シグランの目が見開かれる。


「……これは……!」

「……同じ技……!」


暗黒のドーム。


アズロンは静かに笑う。


「さて……もう一度、耐えられるか?」


✦ 回想


ハマンの声——冷たい。


「その身体では……」

「地獄の太陽を二度使うことはできない」


シグラン:


「……もし使ったら?」


ハマン:


「残っている力をすべて失う」

「……そして——」


重い沈黙。


「自分自身を焼き尽くすことになる」


✦ 現在


「……くそが……」


歯を食いしばる。


身体が震える。


内側から異常な熱が湧き上がる。


ゆっくりと顔を上げる。


瞳が燃える。


「俺は……」

「……退かない!!」


叫びが谷を引き裂く。


「地獄の太陽!!」


血が噴き出す。

皮膚に亀裂が走り、

内側から焼かれていく。


スカイ:


「正気か……!?」


アズロンは止まる。


初めて——表情が変わる。


「まさか……」

「もう一度使うつもりか……?」


炎が生まれる。

だが不安定に揺れ、崩れかけている。


アズロンは笑う。


だが今度は——

興味が宿っていた。


「……いいな」

「生き残れたら……」


「殺す価値がある」


地獄の太陽は膨れ上がる。


だが——


闇が動く。


ドームが広がり、

光を呑み込む。


太陽は引き裂かれ、

圧縮され、

闇に潰される。


空が砕けるような音。


スカイ:


「ありえない……!」


だが——


シグランは笑う。


焼け焦げた顔で。


「……潰してやる……」

「……このクズが……!」


次の瞬間——

すべてが消えた。


太陽は崩壊し、消滅する。


シグランは崩れ落ちる。


アズロンは笑う。


「少し焦ったが……」

「どうやら、全部使い切ったな」


そして——蹴り。


シグランは吹き飛び、岩に叩きつけられる。


「終わりだ」


✦ 同時刻 — 谷の外


ヤザンは立っていた。


沈黙が、異様だった。


「……この気配……」


顔を上げる。


空間が裂ける。


現れたのは——一人の男。


圧倒的な存在。


ハマン。


沈黙。


「ようやくか……」


ヤザンは動かない。


だが声は鋭い。


「遅れて来たんじゃない」

「……俺が、すべてに遅れた原因が——お前だ」


沈黙が深まる。


「父の死は……終わりじゃない」

「この世界の歪みの始まりだ」


その目は復讐ではない。

裁き。


「過去はいらない」


一歩。


「壊すのは——お前の作った“仕組み”だ」


ハマンは静かに言う。


「世界を変えようとする者は……皆そう言う」


ヤザン:


「だが、理解している者は少ない」


空気が軋む。


戦いではない——


思想の衝突。


✦ 谷の中


影が走る。


一撃。


アズロンが吹き飛ぶ。


スカイ:


「いつだ……!?」


そこに立っていたのは——


黒衣の女。


リン。


シグラン:


「……姉……さん……?」


彼女の目から、一滴の涙。


「……兄さん」


第130話・終わり

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