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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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傲慢と力の対峙

密林の広場


密林の奥、開けた空間。

木々はまるで、これから起こる出来事の証人のように、静かにその場を囲んでいた。


その中央に立つのはアズロン。

静かに、わずかな笑みを浮かべながら、まるで何か面白いことを待っているかのようだった。


その正面には――アルマザ部隊。


ラカン、アルダ、アドナン。

その後ろに、シグラン、マヤ、ライド、ワイル、アンス、アミール、ナダ、アスマ。


重苦しい緊張が場を支配していた。


ラカンは目を細め、低く呟く。

「……あの気配、前とは違う」


アルダは腕を組みながら答える。

「ああ……明らかに変わっている」


アドナンが一歩前に出る。

「警戒しろ。あの男は……想像以上に危険だ」


その時――


シグランが一歩前へ出た。

その目には、燃えるような怒りが宿っている。


「お前……」


声が低く沈み――次の瞬間、爆発する。


「借りがあるんだよ……このクズが!」


アズロンは冷たい笑いを漏らした。

「ほう……」


わずかに顎を上げる。

「自信がついたようだな、ザランの小僧」


隣に立つスカイが言う。

「ボス……あの力、成長しています」


アズロンの笑みが深まる。

「それは……実にいい」


ラカンが即座に声を上げた。

「シグラン! 一人で動くな!」


そして、鋭く続ける。

「俺たちはチームだ。命令に従え」


シグランは一瞬だけ止まり、拳を震わせた。

そして低く言う。


「……これは、俺の戦いだ」


次の瞬間――


彼は叫んだ。


赤いオーラが爆発する。

重圧が空気を押し潰し、地面がわずかに震える。


だが――


その力は、突然歪み始めた。


赤は崩れ、消え――

黒と白が混ざり合う、異質な気配へと変わる。


まるで光と闇が、彼の中で衝突しているかのようだった。


スカイの目が見開かれる。

「……何だ、これは」


一歩後退する。

「ボス……この気配……」


躊躇いながら、言葉を絞り出す。

「ヤザンに……似ている」


アズロンの表情がわずかに変わる。

「……何だと?」


シグランを見つめ――そして再び笑う。

今度は、より深く。


「面白い」


その瞬間――


背後の木々が、ゆっくりと揺れ始めた。


まるで森そのものが目覚めたかのように。


マヤは胸に手を当てる。

「シグラン……」


空気が重くなる。

沈黙が、恐怖へと変わる。


そして――


シグランは消えた。


「どこだ!?」とスカイ。


次の瞬間、アズロンの目前に現れる。

拳を振るう――


だが、空を切る。


上から声が落ちた。

「いい動きだ」


アズロンは木の幹の上に立っていた。


スカイが呟く。

「速い……」


シグランは振り向き、蹴りを放つ。

スカイは受け止めるが――


吹き飛ばされ、木に叩きつけられる。


「……なんて威力だ」


アズロンはゆっくりと降り立ち、スカイの横を通りながら何かを囁く。

スカイは微笑んだ。


「了解です」


アドナンが目を細める。

「何を企んでいる……?」


アズロンは手を上げる。

「来い、小僧」


シグランは言う。

「踏み潰してやる」


アズロンは嘲るように笑う。

「口だけは達者だな」


ラカンがシグランの肩を掴む。

「待て。チームで動く」


短い沈黙。


シグランは歯を食いしばる。

「……分かった」


ラカンが手を離した瞬間――


シグランは消えた。


「くそっ!」とラカン。


再びアズロンの前に現れる――


だがその瞬間、スカイが空間を裂く。


時空の門が開き、シグランはその中へ引き込まれる。


「待て!!」とラカン。


アズロンは笑う。

「もう遅い」


そして自らも門へと入る。


スカイも消え、残ったのは静寂と、残響する笑い声だけだった。


その後


密林の広場。

砂塵がまだ宙に漂っている。


誰もが、シグランが消えた場所を見つめていた。


一秒。

二秒。


そして――


ラカンが爆発した。

「くそおおおお!!」


地面を踏みつけ、亀裂が走る。


アドナンは頭を抱える。

「完全にやられた……」


アルダは息を吐く。

「無茶で頑固な奴だ……」


マヤはその場に立ち尽くし、胸を押さえる。

「シグラン……」


震える声。

「もし……戻れなかったら……?」


緊張が張り詰める。


その時――


空気が変わった。


風が止まり、温度が下がる。


背後から、静かな声。


「少し……遅れたようだな」


全員が振り返る。


そこにいたのは――ハマン。


無表情。

だが、その存在だけで場が凍りつく。


ラカンが一歩前に出る。

「隊長……敵は時空転移で逃走しました。シグランも……連れ去られました」


ハマンは何も言わない。


ゆっくりと目を開く。


その瞳の中で、異様な力が動いていた。


そして静かに言う。

「五キロ先だ」


ラカンが息を呑む。

「感知したのか……?」


「出動――」と言いかけた瞬間。


ハマンが手を上げる。


全員が止まる。


「待て」


冷たい声。


「持ち場に戻れ」

「首都が優先だ」


短い沈黙。


「……後は私がやる」


ヤザン vs リクゾウ


森はすでに戦場と化していた。


リクゾウの周囲に雷が走る。

まるで怒れる蛇の群れのように。


「貴様のようなガキが……アルマザの将軍を侮辱することは許さん」


岩の上に立つヤザン。

黒いマントが風に揺れる。


「将軍か……」

「裏切り者でもあるがな」


次の瞬間――


雷が落ちる。


地面が裂け、巨大なクレーターが生まれる。


だがヤザンは、別の岩の上に立っていた。


静かに呟く。

「早く終わらせる……環境が壊れる前に」


リクゾウは手を掲げる。

雷が剣へと形を変える。


「死ね」


激突。


衝撃。

爆音。

大地が揺れる。


だがヤザンは――素手で全てを受け止めていた。


リクゾウが後退する。

「……まだ余裕か」


空へ手を伸ばす。


空が変わる。


雲が黒く染まり、雷鳴が轟く。


「今度は終わりだ」


ヤザンはただ見上げ――

静かに視線を戻した。


恐怖はない。

焦りもない。


ただ――冷たい静寂。


死の谷


空間が裂ける。


そこからシグランが落ちた。


地面に叩きつけられ、ゆっくりと立ち上がる。


死の谷。


乾いた風だけが吹く場所。


背後に、二つの門が開く。


アズロンとスカイが現れる。


アズロンは周囲を見渡し、微笑む。

「ここなら……邪魔は入らない」


シグランは振り向かない。


ただ笑う。


「いい場所だ」

「礼を言う」


ゆっくりと顔を上げる。


「お前の死は――」

「俺の手で迎えられる栄誉だ」


静寂。


そして――


アズロンは笑い出した。


「大した自信だな」

一歩踏み出す。


「傲慢も……ここまで来ると見事だ」


空気が重くなる。


砂が舞い上がる。


スカイは静かに見守る。


シグランは構え、力を解放し始める。


死の谷が――新たな戦いを迎えようとしていた。


第128話 終

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