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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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120/150

嵐の前に舞い込んだ書状

戦争は常に剣で始まるわけではない。

時には…一枚の紙から始まる。


月のない夜、大国の門から騎士たちが馬を駆った。旗を掲げず、太鼓も打たず。

その顔は覆われ、胸には特殊な光の下でしか読めない暗号化された印章を抱えていた。


黒い馬の背に乗り、彼らは散り散りになって世界へと消えた――まるで一本の矢が放たれ、破片となって世界に突き刺さったかのように。


彼らが運んだのは直接的な脅威ではない…

告発だった。


暗い蝋で封じられた書状には、衝撃的な声明が記されていた:

「アルマーザが諸国間の協定を破った。

その騎士の一人が独りで《闇の大地》に侵入し、一国のみが独占する権利のないものを手に入れた。

この行為は単なる越境ではない…力の独占宣言である。」


そして、書状に記された問いは、告発そのものよりも危険だった:

「もしそれが真実なら…

我々はこの暴挙を黙って見ているのか?

それとも秘密裏に集まり…報復の方法を決めるのか?」


正式な返答は求められなかった。

場所も指定されなかった。

ただ、各書状の最後に短い一文があった:

「独占の火が燃え上がれば…皆が焼かれる。」


これらの書状は前例のない極秘裏に送られた。

記録にも残らず、既知の経路も通らず、諸国の首都に張り巡らされたアルマーザの諜報網さえも掴めなかった。

まるで最初から送られていなかったかのように…

そして世界はある朝、誰が蒔いたかも知らぬ危険な思想が頭の中に植え付けられていることに気づくかのように。


偽りの告発。

だが嘘も…適切な時に語られれば…真実よりも致命的だ。


そして闇の中で…

誰かが微笑んでいた。


次の戦争は…国境では始まらない。

まずは人々の頭の中から始まるのだ。


招待状は出されなかった。

布告にも記されず、公式の印章も押されなかった。

それでも…届いた。


黒い岩の層の下に埋もれた忘れ去られた廃墟都市。

そこには、ごく少数のみが知る円形の広間があった。


誰も同じ門からは入らなかった。

各帝国が異なる坑道を通った。

各使節が別々の陰から入った。

たとえ一人が露見しようとも…誰が集めたかは知られぬように。


広間の中央には、円形の石の机。

椅子はない。

全員が立つ。

誰もこんな会合でくつろげはしない。


天井の開口部から、一条の光だけが机の上に落ち、時と共にゆっくりと動く…まるで太陽自身がこれから語られることの証人のように。


一人の統治者が一歩前に出る。

その声は深く、慎重に計算されていた:

「アルマーザは協定を破った。

その騎士の一人を闇の大地に送り込み…そこにあるものを独占した。」


低いざわめきが広がる。


別の者が冷たく応じる:

「証拠は?匿名の書状か?」


三番目の声、鋭く:

「証拠よりも結果が問題だ。

もし事実なら…我々は力の独占に直面している。」


別の統治者が口を挟む:

「もし虚偽なら?我々は誰かの手で戦争に引きずり込まれようとしているのかもしれぬ。」


一瞬、沈黙が落ちる。


そして最も危険な声が響く:

「告発が真実であろうとなかろうと…アルマーザは強すぎる。

それ自体が脅威だ。」


視線が交錯する。

光がゆっくりと彼らの顔の上を移動する。


ある者が言う:

「外からは打ち破れまい。

軍隊は組織され、民は団結し、諜報網は常に我々の先を行く。」


重い言葉。

そして沈黙。


最初から…彼は一言も発さなかった。

ただ観察していただけだ。


そして微笑んだ。

小さな微笑み…だが、その場の全員を戸惑わせた。


彼は静かに言った:

「諸君は古い方法で考えている。」


視線が彼に集まる。

「誰が外から破ると言った?」


場の空気が変わる。


彼は石の杖で床を叩く。

くぐもった音が広間に響く。


誰も気づかなかった脇の扉が…ゆっくりと開く。


足音。

重い。

規則正しい。


見覚えのある軍服を着た男が入ってくる。

その紋章は…否定できない。


目が見開かれる。

ある統治者が囁く:

「こ、これは…ありえぬ。」


カグラの統治者が冷たい声で言う:

「紹介しよう…リコーザ将軍だ。」


完全な沈黙。


将軍が顔を上げる。

迷いのない、冷徹な瞳。


彼は言う:

「アルマーザは見かけほど堅固ではない。

その力は…亀裂を隠している。」


一人が激昂する:

「裏切り者め!」


将軍は静かにそちらを向く:

「裏切りとは相対的な概念だ。

国家が力の独占へと突き進む時…沈黙こそがより大きな裏切りとなる。」


言葉は水に落ちる石のように響く。


ある統治者が問う:

「何を提供できる?」


将軍は即答する:

「内部要塞の地図。

特殊部隊の動き。

そして最も重要なのは…あなた方の側に引き込める者の名前だ。」


光が彼の顔全体を照らす。

「私が…内側から門を開けられる。」


再び沈黙。

だが今回の沈黙は…疑いの沈黙ではない。

計算の沈黙だ。


彼らは数時間にわたり協議する。

囁き。

個別の駆け引き。

書かれざる約束。


そして最後に…

戦争は宣言されず。

協定も結ばれない。


しかし、より危険な決定が下される:

まず内部からアルマーザを揺るがす。

そして…決定的な一撃を。


カグラの統治者が将軍を見る。

「この瞬間から…後戻りはできぬ。」


将軍が応じる:

「元より戻る道などなかった。」


各統治者は来た時と同じく、それぞれの坑道から去る。

会合の痕跡はない。

文書もない。

証人もない。


しかしその夜…

世界の力の均衡は変わった。


遠く離れた場所で…

アルマーザはまだ全てを掌握していると信じていた。

知る由もなく…

今回の脅威は国境からではなく…

心臓そのものから訪れることを。


統治者たちがそれぞれの坑道に消え、

埋もれた都市が再び石の静寂に戻った後…


一人だけ去らぬ影があった。

リコーザ将軍。


人目を避け、脇道に一人立つ。

壁にかかった松明が、彼の顔に砕けた影を投げかける。


彼はゆっくりと呼吸する。

そして天井の石を見上げ、誰にも聞こえぬ低い声で呟く:

「力の独占…独裁…未来の救済…」


かすかな微笑みが唇に浮かぶ。

「実に高尚に聞こえるな。」


壁に手をつく。

「だが真実はそんなものよりずっと単純だ。」


沈黙。

彼の目は冷たい野心に輝く。

「権力だ。」

声をさらに潜める。

「最高指揮官の座…それだけだ。」


広間の中での彼らの顔を思い出す。

疑念の目。非難。躊躇。

「もし本当の野心を見せれば…言葉を終える前に殺されていただろう。」


軍服の襟を整える。

「裏切りとは弱者の使う言葉…

私はただ…盤上を整理しているだけだ。」


アルマーザへ通じる坑道の出口へ向かう。

「内側で火が燃え上がれば…

それを消すのはこの私だ。」

微笑みが少し深くなる。

「そして…玉座に座る。」


最後の灯りが廊下から消える。

彼の足音だけが闇に響く。


遠く離れた場所で…

イーゼンはまだ空を見上げていた。


世界は爆発の縁にある…

しかし誰もまだ知らない…

その火種を自ら灯している者がいることを。


静かな夜。

空は晴れている…だが星はいつもより遠くに見えた。まるで黙って見守っているかのように。


岩場の縁に立ち、イーゼンは瞬きもせず空を見つめていた。

風がゆっくりと彼の周りを通り過ぎる。


スカイが一歩近づく。

「どうしました…ボス?」


すぐには答えない。

空を見つめたまま、重く静かな声で言う:

「この世界は…爆発寸前だ。」


背後にいたスカイが眉をひそめる。

「爆発?」


イーゼンは一瞬目を閉じる。

「風向きが変わった。

影の中の動きが増えた。

静寂が…大きくなりすぎた。」


風が少し強くなり、彼の衣服の裾を揺らす。


スカイは頭をかき、緊張した様子で:

「正直…何もわかりません。

世界が爆発するなら…我々の役割は?」


短い沈黙。

そしてイーゼンは目を開く。

鋭い…だが静かな眼差し。

「まだ当事者ではない。」


彼らの方を向く。

「上から見守る。」

一歩前に。

「そして皆が衝突し始めた時…」

かすかに、かろうじて見える微笑み。

「我々の利益がどこにあるか決める。」


再び風が吹き抜ける。


遠くのどこかで…

混乱の糸がゆっくりと紡がれていた。


そしてイーゼンは…それを恐れてはいなかった。

むしろ、待ち望んでいた。


第120章 終わり

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