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バル  作者: 隣の猫
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426



雪原に。


風が吹いた。


舞い上がった雪の向こう。


白い影が。


一つ。


空から降りてくる。


白い翼。


白い羽。


白い刃。


神の先兵だった。


身喰らう蛇の者たちが。


その姿を見上げる。


先兵は。


何も言わない。


ただ。


雪原を見渡す。


虚無の使徒。


そして。


灰鷹。


その視線が。


ガルドで止まった。


「……虚無の使徒。」


ガルドが。


小さく息を吐く。


「またか。」


西で。


同じことがあった。


先兵には。


灰鷹と虚無の使徒の区別がつかない。


次の瞬間。


白い羽が。


静かにほどけるように舞い上がった。


それは散るのではない。


空間そのものから“剥がれ落ちる”ように生まれる羽だった。


ヒュンッ!!


無数の羽が。


一斉に形を変える。


ガルドの頭上では。


羽が折り重なり。


一本の線を描くように収束していく。


そして。


白い剣へと“固定”された。


一本。


二本。


十本。


増えるのではない。


空間に刻まれるように、剣が増殖していく。


すべての刃が。


ガルドへ向いた。


同時に。


虚無の使徒幹部の周囲でも。


同じ現象が起きていた。


羽は散らず。


螺旋を描きながら収束し、長槍の形へと“結晶化”していく。


一本。


二本。


十本。


無数の槍。


それは生成ではない。


白が“形を思い出す”ように、槍へと固定されていく現象だった。


刃先が。


幹部へ向く。


「……。」


幹部の黒い霧が。


静かに広がる。


次の瞬間。


白い槍が。


一斉に降り注いだ。


ドドドドドドッ!!


黒い霧が。


槍を受け止める。


一本。


二本。


三本。


霧が。


槍の“形”ごと飲み込む。


だが。


飲み込まれた槍は消えない。


霧の中でなお。


白い形を保ったまま、内側から押し返してくる。


その上から。


さらに槍が降る。


雪原が。


次々と抉られていく。


一方。


ガルドの頭上でも。


同じ現象が起きていた。


白い羽は。


剣へと“固定”され。


空間に杭のように突き立つ。


キィンッ!!


ガルドが。


灰色の剣を構える。


その足元から。


灰色の霧が。


ゆっくりと立ち上がった。


霧は。


防御ではない。


空間に対する“上書き”のように剣へ絡みつく。


腕へ。


肩へ。


そして刃へ。


霧が集束し。


灰色の剣が。


重さを増した。


一本目。


二本目。


三本目。


白い剣が。


落ちるのではなく。


“刺さる位置を決めて”降りてくる。


ガルドが。


踏み込んだ。


――ザンッ!!


一閃。


灰色の霧を纏った刃が。


横一文字に走る。


その一撃は。


剣を斬ったのではない。


“剣として固定された空間”ごと断ち切った。


キィンッ!!


キィンッ!!


キィンッ!!


白い剣が。


一斉に弾け飛ぶ。


空間から剥がされるように。


雪原へ突き刺さる。


ガルドは。


その場に立ったまま。


剣を下ろす。


だが。


先兵は。


止まらない。


白い羽が。


再び“ほどける”。


今度は。


より深く。


より静かに。


ガルドの周囲へ。


新たな剣が。


空間から再構築されていく。


「……まだ来るか。」


ガルドが。


灰色の霧を纏った剣を構える。


その向こうでは。


幹部も。


黒い霧を大きく広げていた。


白い槍が。


次々と。


黒い霧へ突き刺さる。


白と黒。


二つの“現象”が。


同時に衝突する。


その周囲では。


身喰らう蛇の者たちも。


動き始めていた。


誰も。


この戦場を譲るつもりはない。


雪原に。


白い羽が。


静かに。


しかし絶え間なく。















“形を変え続けて”舞っていた。

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