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バル  作者: 隣の猫
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408/417

ブレイク




扉が。


開いた。


眩しい光が。


地下水路へ差し込む。


ベスは。


目を細めた。


風が。


頬を撫でる。


外の空気。


土の匂い。


そして。


声。


「……!」


ベスが。


顔を上げる。


そこに。


灰鷹の仲間たちがいた。


「団長!」


「戻ってきた!」


「みんなもいるぞ!」


一斉に。


駆け寄ってくる。


ガルドが。


顔を上げた。


レオンも。


エインも。


アイラも。


リシアも。


ボルグも。


その姿を見る。


それだけなのに。


妙に。


遠く感じていた。


「……お前ら」


ガルドが。


声を漏らす。


灰鷹の団員が。


ガルドの肩を掴む。


「遅かったじゃないですか」


「……悪いな」


ガルドが。


笑う。


その瞬間。


ベスの身体から。


力が抜けた。


「……あ」


膝が。


崩れる。


「ベス!」


ノアの声。


同時に。


レオンも。


その場に座り込む。


エインが。


大弓を手放す。


アイラが。


壁に身体を預ける。


リシアも。


その場に膝をついた。


ボルグの身体が。


ゆっくり傾く。


ガルドも。


立っていられなくなる。


「おい!」


灰鷹の団員たちが。


慌てて支える。


けれど。


もう。


誰も。


自分の身体を支える力を残していなかった。


ベスは。


ぼんやりと。


仲間たちの顔を見る。


帰ってきた。


みんな。


いる。


それだけを確認して。


意識が。


ゆっくり遠のいていく。


最後に聞こえたのは。


灰鷹の仲間たちの声だった。


「大丈夫だ!」


「手当てを!」


「寝かせろ!」


そして。


暗くなった。




どれくらい。


眠っていたのか。


分からない。


ベスが。


ゆっくり目を開ける。


最初に見えたのは。


布の天井だった。


かすかに。


焚き火の煙の匂いが残っている。


乾いた布と薬草の匂いが混じり。


鼻の奥に。


少しだけ苦い。


ぱち……ぱち……


すぐ近くで。


薪が弾ける音がする。


火の光が。


布越しに揺れているのか。


天井に。


橙色の影がゆっくり流れていた。


その光は。


強くはない。


けれど。


冷えた身体には。


ちょうどいい温度を持っている。


少し離れたところから。


人の気配。


低い声。


「水、替えとけ」


「こっちは包帯巻き直す」


「まだ寝てるな」


灰鷹の団員たちの声だった。


金属の器が触れ合う音。


布を絞る音。


足音は静かで。


急かすようなものはない。


ただ。


淡々と。


生きている音だけが続いている。


外からは。


風の音。


そして。


遠くで瓦礫を運ぶ音がかすかに混じる。


街はまだ。


完全には戻っていない。


それでも。


動いている。


ベスは。


ゆっくり息を吐いた。


胸の奥に残っていた重さが。


少しだけほどける。


目を閉じる。


焚き火の音が。


一定のリズムで続いている。


ぱち。


ぱち。


その音に。


身体がゆっくり沈んでいく。


今は。


ただ。


休めばいい。




















そう思えた。

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