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バル  作者: 隣の猫
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403/424

ライト




ガルドは白い翼を見据えたまま口を開く。


「ベス。」


「光を取れ。」


背後でベスが息を呑む音が、はっきりと聞こえた。


「……でも。」


「ここは俺たちがやる。」


その一言が落ちた瞬間、空気が変わる。


レオンが大剣を肩から振り下ろし、石床に刃先を叩きつけた。


ゴンッ、と鈍い衝撃音が地下水路に響き、振動が足元から這い上がる。


「聞こえただろ!」


「さっさと行け!」


ボルグが大楯を前へ突き出す。


金属が軋み、盾面に冷たい光が走る。


「ここは通さん。」


アイラは静かに矢を番える。


弦がきしむ音が、張り詰めた空気をさらに引き締めた。


エインも大弓を引き絞る。


木と金属が悲鳴のような音を立て、矢尻が白い翼へと狙いを定める。


リシアは一歩踏み出した。


氷の花が咲くように空気が凍り、淡い結晶が舞い上がった。


その花弁は音もなく砕け、二本の氷剣へと収束していく。


神の先兵は静かに視線を向けた。


白い羽が、ゆっくりと揺れる。


次の瞬間。


空気が裂けた。


無数の羽が一斉に放たれる。


ヒュン、と風を切る鋭い音が重なり、白い軌跡が地下水路を埋め尽くす。


「来るぞ!」


ガルドが踏み込む。


灰色の剣が振り抜かれた瞬間、金属同士がぶつかる甲高い衝突音が連続して響いた。


ガギィィン!!


火花が散る。


白い刃が弾かれ、壁に突き刺さるたびに石が砕け、粉塵が舞い上がる。


その横で。


ボルグの大楯が羽の刃を受け止める。


ギィン、と重い金属音が響き、衝撃で彼の足元の石床がひび割れた。


レオンの大剣が横薙ぎに振るわれる。


空気ごと叩き切るような風圧が生まれ、白い羽をまとめて吹き飛ばす。


アイラの矢が放たれる。


弦が弾ける音と同時に、矢は風を裂き、羽の軌道を正確に逸らす。


エインの一矢は重く、空気を押し潰すように飛び、白い刃を正面から撃ち抜いた。


そして。


リシアが踏み込む。


氷剣が振るわれるたび、空気が凍りつき、白い軌跡が残像のように空間へ刻まれる。


キィン、と澄んだ音と共に羽が凍結し、砕け散った。


神の先兵は傷を負っている。


だが。


その動きは一切鈍らない。


白い羽は正確に軌道を変え、六人の攻撃を紙一重で受け流し、反撃の隙を探るように舞い続ける。


それでも。


一歩。


また一歩。


ガルド達は前へ出る。


石床を踏み砕く音が重なり、神の先兵をじわじわと残された光から引き離していく。


ガルドは叫ぶ。


「今だ!」


その声を背に。


ベスは前を見る。


残された光。


その輝きは、もう。



















手を伸ばせば届く距離にあった。

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