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バル  作者: 隣の猫
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392/410

エニモア



白い光。


放たれた瞬間、空気が裂ける。


音は遅れて来る。


「――っ!」


ガルドが動く。


考える前だ。


首筋。


狙いはそこ。


避けきれない。


剣を滑らせる。


軌道をずらす。


それでも。


ドシュッ。


肩を貫く。


「ぐっ……!」


衝撃で膝が落ちる。


光はそのまま地面へ。


ガルドを縫い止めた。


「ガルド!」


ボルグの声が割れる。




レオンが踏み込む。


大剣を振り上げる。


間に合わない。


光が来る。


正面。


胸。


反射。


身体が捻れる。


紙一重。


致命は外す。


だが。


ドシュッ。


腕。


貫通。


「っ……!」


剣は離さない。


それだけで限界だ。


光は地面へ。


腕ごと固定する。


「くそっ……!」




アイラ。


矢を放つ。


一瞬の隙。


白い光を逸らす。


次。


来る。


見えている。


それでも。


遅い。


顔を逸らす。


頬を裂く。


そのまま。


壁。


外套ごと。


縫い付けられる。


「……っ!」




リシア。


氷を展開。


防ぐ。


砕ける。


一瞬で。


二枚目。


三枚目。


押し切られる。


「……!」


身体が反る。


胸を狙う光。


外れる。


脚。


掠める。


膝が落ちる。


「動けない……」




エイン。


大弓。


引く。


放つ前。


光。


来る。


咄嗟に逸らす。


急所は外れる。


だが。


脇腹。


貫通。


壁へ。


「……まだ、やれる」


声だけが残る。




ボルグ。


大楯。


前へ。


受ける。


弾く。


押し返す。


次。


次。


次。


最後の一本。


盾の隙間。


抜ける。


肩。


「ぐっ……!」


そのまま。


動きが止まる。




誰も倒れていない。


意識もある。


だが。


立てない。


動けない。


あと一瞬遅ければ。


全員、終わっていた。


ベスは見ていた。


自分を助けるために。


迷いなく飛び込んだ背中。


その結果。


今。


刺さっている。


縫い止められている。


「……」


声が出ない。


胸の奥が熱い。


遅れて痛みになる。


また。


あの日と同じだ。


届かなかった手。


救えなかった距離。


そして今。


目の前で。


また。


















奪われかけている。

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