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グリーピング
ノアが駆け寄る。
「猫さん!」
灰猫はゆっくりと振り返る。
「なんじゃ。」
ノアは満面の笑みを浮かべる。
「猫さん、すごいね!」
そのまま小さな手を伸ばし。
灰猫の頭を優しく撫でた。
灰猫は少しだけ目を細める。
「……まったく。」
「子どもは騒がしいのう。」
嫌そうに言いながらも。
その場を離れようとはしなかった。
少し離れた場所で。
ベス達は、その光景を静かに見つめていた。
誰も何も言わない。
焼けた街。
崩れた建物。
その中で。
そこだけは、ほんの少しだけ穏やかな時間が流れていた。
レオンが小さく口を開く。
「……怒らせねーようにしないとな。」
沈黙。
誰も笑わない。
ただ。
ガルドも。
リシアも。
アイラも。
エインも。
ボルグも。
小さく頷いた。
その時だった。
ひらり。
白い羽が舞う。
一枚。
また一枚。
雪のように。
静かに。
焼けた街へ降りてくる。
風は吹いていない。
それでも。
羽だけが穏やかに空を漂っていた。
ノアが手を伸ばく。
「きれい……。」
白い羽が。
石畳へ触れた。
その瞬間。
キィン――。
どこからともなく。
澄み切った音が響く。
まるで。
歌い始めるように。
剣が鳴いた。
ベスが顔を上げる。
その目の前には。
白く輝く刃が。
すでに喉元まで迫っていた。




