表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バル  作者: 隣の猫
PR
382/417

フュリアス



風が止む。


最後の虚無の使徒が。


瓦礫の上へ落ちた。


「……。」


立ち上がろうとする。


身体に力を込める。


だが。


動かない。


何故だ。


攻撃を受けた覚えはない。


刃も届いていない。


ただ。


風が吹いただけ。


「何を……した。」


虚無の使徒が呟く。


その先。


灰猫が歩いてくる。


ゆっくりと。


いつものように。


面倒そうな歩き方。


「……。」


使徒は睨む。


「貴様は……何だ。」


灰猫は答えない。


ただ。


焼けた街を見る。


そして。


もう一度。


使徒を見る。


「ここは。」


静かな声。


「わしが見てきた場所じゃ。」


虚無の使徒の表情が変わる。


「……。」


灰猫が一歩進む。


「人が生まれ。」


「育ち。」


「笑って。」


「そして、次の世代へ繋いできた。」


「お主らは。」


「それを壊した。」


風が吹く。


「二度も。」




虚無の使徒が立ち上がる。


「くだらない。」


「ただの街だ。」


その瞬間。


灰猫の目が細くなる。


「……そうか。」


「お主らには。」


「そう見えるか。」


次の瞬間。


姿が消える。


「!」


虚無の使徒が振り向く。


遅い。


灰猫の前足が。


軽く触れる。


ただそれだけ。


だが。


次の瞬間。


身体が吹き飛ぶ。


建物の壁を何枚も突き破る。


「……。」


ベス達は言葉を失う。


レオンが呟く。


「いや……。」


「今の……。」


アイラも弓を下ろす。


「見えなかった。」


ガルドは黙って灰猫を見る。


長い時間。


共に戦ってきた自分でも。


知らなかった姿。




ノアが駆け寄る。


「猫さん!」


灰猫は振り返る。


「なんじゃ。」


「すごい!」


「猫さん、すごい!」


灰猫は少しだけ目を細める。


「騒ぐでない。」


「猫は昼寝が好きなんじゃ。」


その言葉に。


いつもの灰猫が戻る。


しかし。


ベスは見ていた。


小さな背中。


長い時間。


この街を見守ってきた存在。


ただ強いだけではない。


守るために。


そこにいた存在。




虚無の使徒が最後の力で立ち上がる。


「我らは……。」


「世界を……。」


言葉の途中。


灰猫が前へ出る。


「もう。」


「聞かぬ。」


風が吹く。


そして。


静かに。


















戦いが終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ