トゥ
ドンッ!!
九人の虚無の使徒が同時に動いた。
だが。
その動きは無秩序ではなかった。
最初から決められていたように。
分かれる。
二人が。
ガルドへ。
一人が。
レオンへ。
一人が。
アイラへ。
一人が。
リシアへ。
そして。
四人が。
ベスへ。
「……!」
ベスの表情が変わる。
「俺が目的か。」
返事はない。
ただ。
四人の使徒が静かに剣を構える。
「行かせると思うか。」
ガルドが前へ出る。
二人の使徒と向き合う。
キィィン!!
一撃。
二撃。
三撃。
剣戟が重なる。
互いの死角を補いながら攻めてくる。
「連携している……。」
ガルドの目が細くなる。
「俺も忘れるなよ!」
レオンが大剣を振り抜く。
ドゴォン!!
豪快な一撃。
石畳が砕ける。
しかし。
虚無の使徒は紙一重で避ける。
そのまま懐へ入り込む。
「っ!」
レオンは大剣を戻す。
間に合わない。
黒い刃が迫る。
ガキィン!!
大剣の腹で受け止める。
「近距離じゃ、こっちの方がやりやすいんだよ!」
レオンが力任せに押し返す。
アイラは距離を取る。
弓を引く。
風の矢。
放つ。
しかし。
使徒は軌道を読み、最小限の動きで避ける。
「……読まれてる。」
次の瞬間。
黒い短剣が飛ぶ。
アイラは風を巻き起こし、軌道を逸らす。
リシアの前。
使徒が剣を構える。
「……。」
リシアは氷を展開する。
守る。
それが自分の役目だと理解している。
だが。
一枚。
二枚。
氷壁が砕かれる。
「硬い……!」
そして。
ベス。
四人の使徒が迫る。
正面。
左右。
上。
逃げ道を潰す配置。
「……。」
ベスは剣を握る。
刀身が淡く光る。
魔を払う光。
今度こそ。
発動する。
その瞬間。
四人のうち一人が消えた。
「なっ――」
背後。
黒い影。
ガンッ!!
咄嗟に剣で受ける。
だが。
その隙に。
左右から二つ下から一つの刃
ベスは後ろへ飛ぶ。
ギリギリで避ける。
「速い……!」
四人。
一人一人の強さもある。
だが。
何より。
狙いが明確だった。
殺すためではない。
捕らえるため。
その事実に。
ベスは気付く。
「……俺を連れていくつもりか。」
虚無の使徒は答えない。
ただ。
もう一度。
四人が距離を詰めた。
まるで獲物を追い込むように。




