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バル  作者: 隣の猫
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379/398

トゥ



ドンッ!!


九人の虚無の使徒が同時に動いた。


だが。


その動きは無秩序ではなかった。


最初から決められていたように。


分かれる。


二人が。


ガルドへ。


一人が。


レオンへ。


一人が。


アイラへ。


一人が。


リシアへ。


そして。


四人が。


ベスへ。


「……!」


ベスの表情が変わる。


「俺が目的か。」


返事はない。


ただ。


四人の使徒が静かに剣を構える。




「行かせると思うか。」


ガルドが前へ出る。


二人の使徒と向き合う。


キィィン!!


一撃。


二撃。


三撃。


剣戟が重なる。


互いの死角を補いながら攻めてくる。


「連携している……。」


ガルドの目が細くなる。




「俺も忘れるなよ!」


レオンが大剣を振り抜く。


ドゴォン!!


豪快な一撃。


石畳が砕ける。


しかし。


虚無の使徒は紙一重で避ける。


そのまま懐へ入り込む。


「っ!」


レオンは大剣を戻す。


間に合わない。


黒い刃が迫る。


ガキィン!!


大剣の腹で受け止める。


「近距離じゃ、こっちの方がやりやすいんだよ!」


レオンが力任せに押し返す。




アイラは距離を取る。


弓を引く。


風の矢。


放つ。


しかし。


使徒は軌道を読み、最小限の動きで避ける。


「……読まれてる。」


次の瞬間。


黒い短剣が飛ぶ。


アイラは風を巻き起こし、軌道を逸らす。




リシアの前。


使徒が剣を構える。


「……。」


リシアは氷を展開する。


守る。


それが自分の役目だと理解している。


だが。


一枚。


二枚。


氷壁が砕かれる。


「硬い……!」




そして。


ベス。


四人の使徒が迫る。


正面。


左右。


上。


逃げ道を潰す配置。


「……。」


ベスは剣を握る。


刀身が淡く光る。


魔を払う光。


今度こそ。


発動する。


その瞬間。


四人のうち一人が消えた。


「なっ――」


背後。


黒い影。


ガンッ!!


咄嗟に剣で受ける。


だが。


その隙に。


左右から二つ下から一つの刃


ベスは後ろへ飛ぶ。


ギリギリで避ける。


「速い……!」


四人。


一人一人の強さもある。


だが。


何より。


狙いが明確だった。


殺すためではない。


捕らえるため。


その事実に。


ベスは気付く。


「……俺を連れていくつもりか。」


虚無の使徒は答えない。


ただ。


もう一度。


四人が距離を詰めた。





















まるで獲物を追い込むように。

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