ライト
大樹の奥。
古い地図の前。
灰鷹は静かに集まっていた。
ベスとノアにだけ見える光。
それが示した三つの場所。
アイラは、
現在の地図を広げる。
古い地図と、
何度も見比べる。
指先で、
大陸の形をなぞる。
「……。」
しばらく沈黙する。
そして。
「ベス。」
「ノア。」
二人を見る。
「もう一度。」
「光が落ちていた場所を教えて。」
ベスは壁を見る。
そこにはまだ、
淡い光が残っている。
ノアも頷く。
指を伸ばす。
北。
西。
東。
三つの場所。
アイラは、
その位置を現在の地図へ重ねる。
印を付ける。
一つ。
また一つ。
最後の場所へ。
「……。」
「大体の位置は出せた。」
レオンが地図を見る。
「本当にそこに何かあるのか?」
アイラは首を振る。
「分からない。」
「でも。」
「この光が意味もなく場所を示すとは思えない。」
ベスは黙って地図を見る。
三つの場所。
残された光。
確信はあった。
ここには、
まだ集めるべき光がある。
オアシスで見たもの。
そして。
ノアが導いた場所。
全てが繋がっている。
「行く。」
ベスが言う。
迷いはなかった。
「残された光を集める。」
その言葉に、
ノアが小さく頷く。
アイラも地図を畳む。
「なら、準備が必要ね。」
その時。
ガルドが口を開いた。
「まずは船だ。」
全員が振り返る。
「港へ戻る。」
「船を直す。」
「それから向かう。」
レオンが少し間を置く。
「あ。」
アイラを見る。
「……船のこと、忘れてた。」
「……。」
アイラがため息を吐く。
「本当に?」
「いや、戦いの後だったし。」
「言い訳。」
「はい。」
そのやり取りに、
周囲の団員たちが笑う。
「また怒られてる。」
「いつものことだな。」
灰鷹は、
大樹の神殿を後にする。
森へ入る。
だが。
来た時とは違っていた。
魔物の姿はある。
木々の影。
遠くの茂み。
そこから、
灰鷹を見ている。
以前なら。
襲い掛かってきた存在。
しかし。
今は違う。
一匹が唸る。
もう一匹が後ろへ下がる。
近付こうとはしない。
まるで。
「あいつらには関わらない方がいい」
そう判断しているようだった。
レオンが気付く。
「……。」
「避けられてる?」
アイラが周囲を見る。
少し笑う。
「森で学んだんじゃない?」
「関わらない方がいいって。」
レオンは苦笑する。
「魔物にも分かるんだな。」
ガルドは前を向いたまま歩く。
「それだけだ。」
「俺たちが変わったということだ。」
ベスは一度だけ振り返る。
以前は恐怖だった森。
今は。
ただ通り過ぎる道になっている。
灰鷹は進む。
残された三つの光へ向かうために。
新たな旅の翼を広げるために。




