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バル  作者: 隣の猫
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シルフィード



朝。


オアシスに静かな光が差し込む。


準備を終えたベスとアイラは、水底へ続く遺跡の入口へ向かっていた。



見送りに来たのは、灰鷹の仲間たち。


ガルド。


レオン。


リシア。


ノア。


そして。


ノアの腕の中には、灰色の猫がいた。



「にゃ。」


小さな鳴き声。


ノアが笑う。


「行ってらっしゃいって言ってる。」



ベスは小さく笑った。


「分かってる。」


その隣で。


アイラは新しく直した弓を背負う。


完全ではない。


だが。


今はこれで十分だった。



「気をつけてください。」


リシアが言う。


「無茶はするなよ。」


レオンも続く。



ガルドは腕を組んだまま、静かに見る。


「戻ってこい。」


短い言葉。


それだけで十分だった。



ベスは頷く。


その時。


黄金の羽が舞う。


小鷹が二人の前へ降りてきた。



「ベス〜。」


「アイラ〜。」


アイラが振り向く。


「どうしたの?」


小鷹は少し得意そうに胸を張る。



「昨日、お父さんとお母さんから聞きました。」


「遺跡には秘密があるそうです。」



ベスが見る。


「秘密?」


小鷹は頷く。



「風が、光へ導くらしいですよ〜。」


その言葉に。


アイラの目が僅かに動く。


風。


その言葉だけで。


胸の奥にある感覚が反応する。



「……行こう。」


ベスが言う。


アイラは頷いた。


二人は水の中へ進む。



オアシスの底。


静かに眠る古代の遺跡。


近付いた瞬間。


風が吹いた。


水の中のはずなのに。


確かに風が流れる。


アイラが目を細める。



「……見える。」


ベスが見る。


「何が?」


アイラは前を見る。


「道。」


その瞬間。


巨大な扉が震える。



長い時を閉ざしていた遺跡の入口。


風がその隙間へ流れ込む。


光が走る。



ゆっくりと。


扉が開いていく。


その奥から。


冷たい風が吹き抜ける。



まるで。


二人を待っていたかのように。



ベスは足を踏み出す。


アイラも続く。


風が二人を包む。


残された光へ導くように。























二人は、遺跡の奥へ進んでいった。

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