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バル  作者: 隣の猫
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324/398

ウイン・ガ



夜のオアシス。


ベスの答えを聞いた後。


父鷹たちは、しばらく沈黙していた。


「……そうか。」


父鷹が静かに呟く。


神を憎んでいる。


しかし。


世界を憎んでいるわけではない。


その答えを、守護獣たちは受け止めていた。


母鷹はベスを見る。


その瞳には、まだ迷いが残っている。


だが。


敵を見る目ではなかった。


灰色の猫が小さく鳴く。


「にゃ。」


それだけ。


しかし。


父鷹は小さく頷いた。


「……そうだな。」


それ以上、何も言わない。


語れないものがある。


守護獣には、守護獣の役目がある。


だから。


伝えるべきものだけを伝える。


「継承者よ。」


父鷹はベスを見る。


「今のままでは、あの者には届かぬ。」


誰のことか。


聞く必要はなかった。


「虚無の盟主。」


その名に、周囲の空気が少し変わる。


地下神殿で感じた力。


誰もが理解していた。


まだ足りない。


「あの者の領域へ至るには、必要なものがある。」


父鷹は続ける。


「世界各地に残された光。」


「それを集めることだ。」


その言葉。


「光……。」


小さな呟き。


アイラだった。


全員が振り向く。


アイラは自分でも気付かないように、胸元へ手を伸ばす。


取り出したのは、一枚のメモ。


「これ……。」


ベスが見る。


「大樹の遺跡で見つけたものです。」


アイラは紙を開く。


そこには、以前記した言葉。


『残された光を探せ』


父鷹の目が細まる。


「……。」


静かにアイラを見る。


「お主。」


アイラは顔を上げる。


「風が見えておるのか。」


その言葉に、アイラは少し戸惑う。


「……風?」


自分でも分かっていない。


ただ。


感じる。


流れ。


違和感。


そこに残されたもの。


「私は……。」


「風の流れが分かるだけです。」


父鷹はしばらく黙る。


そして。


「ふむ。」


短い言葉。


「なるほど。」


その反応に、アイラは首を傾げる。


父鷹はベスを見る。


「継承者よ。」


「この光を探す旅には、お主だけでは足りぬ。」


そして。


アイラを見る。


「お主も必要だ。」


アイラが驚く。


「私が……?」


「ああ。」


父鷹は頷く。


「風を読む者。」


「そして、継承者。」


「二人で遺跡へ向かえ。」


静かな夜。


新たな道が示された。


「この大陸に残された光は。」


父鷹が続ける。


「このオアシスの水の底。」


「眠る遺跡にある。」


ベスは静かに頷く。


アイラは手の中のメモを見る。


大樹の遺跡。


残された光。


夜は深い。


だが。





















次へ進む道は、確かに見えていた。

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