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バル  作者: 隣の猫
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エルノ



レオンが吹き飛ばされた。


大剣も、小剣も手から離れ、石床を転がる。


「レオン!」


リシアは反射的に駆け出した。


ガルドも同時に床を蹴る。


次は追撃。


誰も疑わなかった。




だが。


盟主はレオンを見ない。


静かに身体を返し、


今度はアイラへ歩き出した。


「アイラ!」




その時だった。


カツ……


足音。


レオンの近くへ、


一人の虚無の使徒が歩いていく。


「……!」


アイラへ向かっていた足が、ほんの一瞬だけ止まる。




リシアとガルドは目を合わせる。


一瞬。


それだけで十分だった。


リシアはレオンへ。


ガルドはアイラへ。


互いに役目を分け、別々に走る。


しかし。


虚無の使徒は剣を振らない。


静かにレオンの腕を掴み、


ゆっくりと身体を起こした。


「……え。」


理解できない。


敵なのに。


なぜ。


その一瞬。


思考が止まる。




「しまっ!」


振り返った時には、


盟主はもう目の前だった。


黒い刃が走る。




一撃目。


キィィィン!!


リシアは白銀の加護を纏う。


両手へ氷剣が生まれる。


長剣。


短剣。


二刀。


長剣で受け止める。


重い。


腕が軋む。


それでも止める。




二撃目。


黒い刃が返る。


短剣へ持ち替える。


キィン!!


氷剣が黒い刃を外へ流す。


逸らした。




三撃目。


来る。


今度は防ぐ。


氷が走る。


盾を作る。


だが。


間に合わない。


「っ!」



ガギィィィン!!


灰色の刃が横から割り込んだ。


「団長!」


ガルドだった。


灰色の剣が、


三撃目を真正面から受け止める。


衝撃が地下神殿を震わせた。




リシアは止まらない。


氷剣を握り直す。


ガルドの横へ滑り込む。


長剣。


短剣。


二刀が灰色の剣筋へ重なる。


キィィィン!!


ガルドが押す。


リシアが繋ぐ。


二人で喰らいつく。


一歩も退かない。

























それでも。

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