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バル  作者: 隣の猫
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ルヴィス



「扉が……光ってる。」


ノアの言葉に、


灰鷹は一斉に立ち上がった。


焚き火の火を残したまま、


全員で巨大な石扉の前へ向かう。


静まり返った地下神殿。


昨日まで、どれだけ力を込めても開かなかった最後の扉だった。




「ここ。」


ノアが小さな手で指差す。


扉の中央。


ほんの一か所だけが、


淡く脈打つように光っていた。


レオンが顔を近付ける。


「昨日はこんなの無かったよな。」


アイラも静かに頷く。


「はい。」


「確かに。」


リシアはそっと石へ触れる。


しかし何も起きない。


ガルドも腕を組んだまま見つめていた。


「……。」


誰も答えを持っていない。




その時だった。


ベスは胸の奥が、


小さく温かくなるのを感じた。


「……?」


反射的に胸元へ手を当てる。


服の下。


ずっと首へ掛けたままだった銀色の首飾り。


それが、


扉と同じように淡く光っていた。


「これ……。」


思わず取り出す。


小さな銀色の首飾り。


肌身離さず持ち続けてきた。




その光を見た瞬間。


記憶が蘇る。


鐘の音。


村中へ響く怒号。


慌ただしく走る大人たち。


父が剣を手に取る姿。


母が棚から小さな革袋を取り出す。


『これは、おじいちゃんから受け継いだものよ。』


『大切にして。』


『絶対になくしちゃ駄目。』


『約束。』


『……うん。』


母は笑っていた。


その笑顔が、


ベスの見た最後の笑顔だった。




燃え上がる家。


響く悲鳴。


魔物の咆哮。


父も。


母も。


あの日、


帰って来なかった。


ベスは無意識に首飾りを強く握り締める。


「……母さん。」


小さく漏れた声は、


自分でも驚くほど震えていた。




ガルドは静かにベスを見る。


何も聞かない。


ただ、小さく頷いた。


「やってみろ。」


短い一言。


それだけだった。


ベスはゆっくり息を吸う。


首飾りを握り、


光る場所へ近付けた。




カチリ。


小さな音が鳴る。


次の瞬間――


ゴゴゴゴゴ……


地下神殿全体が低く唸った。


巨大な石扉がゆっくりと震え始める。


「動いた!」


レオンが思わず声を上げる。


誰も動かない。


ただ目の前を見つめていた。


ギギギギ……


重々しい音が地下神殿へ響く。


隙間が生まれる。


その奥は、


光すら届かない深い闇だった。


そして。


ズズズズ……


黒い霧が、


ゆっくりと足元へ流れ出してくる。


まるで、
























何かが、静かに息を吐いたかのように。

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