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バル  作者: 隣の猫
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280/410

ネイフェ



地下神殿。


三人と一人。


互いに距離を取ったまま、


静かな時間が流れていた。




レオンは大剣を握り直す。


肩で息をする。


「……。」


今の攻撃。


間違っていなかった。




押し留める剣。


相手の力を利用する鷹の爪。


アイラの誘導。


リシアの繋ぐ剣。




全てを重ねた。


それでも。


届かなかった。




「強い……。」


アイラが小さく呟く。


悔しさではない。


純粋な驚きだった。




自分の矢は、


風を読む。


相手の動きを読む。


その先まで読む。


そこまで極限まで高めた。




それでも。


あの剣は、


風ごと断ち切った。




レオンも静かに息を吐く。


「俺たち……。」


「強くなったよな。」


アイラが少しだけ目を伏せる。


「ええ。」


「半日前なら、今の連携すらできなかった。」




リシアは目の前の存在を見る。


灰色の霧。


人外の力。


虚無の使徒にしか見えない姿。




「でも。」


リシアが小さく呟く。


「少し変です。」




レオンが振り返る。


「何がだ?」




リシアは剣を構えたまま、


相手を見つめる。




「虚無の使徒なら。」


「今、追撃しているはずです。」




その言葉に、


二人も気付く。




確かに。


普通なら。


今の隙を逃す理由がない。




レオンは警戒したまま言う。


「罠かもしれねぇ。」




アイラは首を振った。


「……違う。」




「もし罠なら。」


「もっと早く動いている。」




三人は静かに相手を見る。




灰色の霧の向こう。


剣を構える姿。




攻撃してこない。


ただ。


こちらを見ている。



一方。


ガルドもまた、


三人を見つめていた。




この剣。


この矢。


この連携。




偶然ではない。




だが。


決定的なものが足りない。




声。


仕草。


戦い方。


全てが変わっている。




半日前。


共に戦った仲間。


その姿と、


目の前の存在が繋がらない。




ガルドは静かに剣を下ろさない。


だが。


追撃もしない。




三人は知らない。


目の前にいる存在が、


探していた仲間だということを。




ガルドも知らない。


目の前にいる三人が、


守るべき仲間だということを。




その時。


遠くから、


別の足音が響いた。




「……。」




誰かが来る。




地下神殿の奥。
























新たな気配が近付いていた。

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