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バル  作者: 隣の猫
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240/417

ノスティ



「来い。」


レオンが静かに大剣を構える。


目の前には二刀の虚無の使徒。


もう笑ってはいない。


もう焦ってもいない。


互いに一歩ずつ距離を詰める。




先に動いたのは虚無の使徒だった。


黒い短剣が一直線に走る。


キィィィン!!


レオンは受ける。


流す。


押し返す。


「……。」


虚無の使徒はすぐに二本目の短剣を振るう。


いつもの型。


片手で止め、


もう片方で削る。


ガギィッ!!


肩へ浅い傷が走る。


「ちっ。」


それでもレオンは笑った。


「やっぱり、それか。」




何度も。


何度も。


同じだった。


片手で止める。


空いた手で斬る。


片手で止める。


空いた手で刺す。


レオンはその全てを身体へ刻み込むように見続けた。


(そういうことか。)


少しずつ。


敵の動きが頭の中で形になっていく。




「レオン!」


上階からアイラの声。


ヒュッ!!


誘導の矢。


二刀の虚無の使徒がわずかに身体を流す。


その隙へ。


レオンが踏み込む。


ガギィィン!!


重い一撃。


虚無の使徒は片手で受け止める。


だが。


すぐにもう片方の短剣が飛んでくる。


「まだか。」


レオンは小さく笑った。


「そうじゃねぇ。」




距離を取る。


深く息を吸う。


腰へ差した小剣へ一瞬だけ手が触れる。


だが抜かない。


まだ早い。


「……もう少しだ。」




地下神殿へ剣戟が響く。


ガルドから教わった剣。


相手を止める戦い方。


目の前の敵が使う二刀。


全てが少しずつ繋がっていく。


レオンは静かに大剣を握り直した。


「次で終わらせる。」


虚無の使徒も静かに二本の短剣を構える。


黒い仮面のヒビから、


短く掠れた声が漏れた。


「……狩る。」


レオンは口元を上げる。


「そうか。」


「なら教えてもらうぜ。」


「最後までな。」

























二人は同時に床を蹴った。

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