イラス
レオンは地下神殿へ飛び降りた。
砂埃を巻き上げながら着地する。
目の前では、リシアがなお三人の虚無の使徒を相手に舞い続けていた。
白銀の氷剣。
細身の剣。
二振りの刃が、三方向から迫る黒い短剣を次々と受け流していく。
完全に捌いている。
それでも、一歩も前へ出られない。
「リシア!」
「来た!」
短い返事だけが返る。
振り向く余裕すらない。
「はぁぁぁっ!!」
レオンが真正面から斬り込む。
ガギィィン!!
大剣が虚無の使徒の短剣と激しくぶつかる。
重い。
押し返す。
だが、その瞬間。
もう一人の虚無の使徒が背後へ回り込んだ。
「左!」
リシアが飛び込む。
キィィン!!
氷剣が黒い短剣を弾き返す。
「悪ぃ!」
「気にしない!」
二人はすぐに距離を取り直した。
レオンは息を整えながら、リシアの剣を見る。
二刀。
流れるような動き。
「……。」
思わず口元が緩んだ。
「リシア!」
「ん?」
「俺も二刀流だ!!」
「えっ?」
レオンは勢いよく腰の小剣を抜く。
右手に大剣。
左手に小剣。
そのまま虚無の使徒へ突っ込んだ。
「おおおおっ!!」
だが。
ガンッ!
自分の大剣へ小剣をぶつける。
「うわっ!」
体勢が大きく崩れた。
その隙を虚無の使徒は見逃さない。
黒い短剣が一直線に迫る。
「レオン!」
リシアが飛び込む。
キィィィン!!
二刀が交差し、黒い刃を受け流した。
その直後。
ヒュン!!
上階から一本の矢が風を裂く。
虚無の使徒は反射的に身を逸らす。
その一瞬でレオンは後ろへ転がった。
リシアは思わず声を上げる。
「こんな時に何してるの!」
レオンは頭をかきながら苦笑した。
「……悪ぃ。」
上階からすぐにアイラの声が飛ぶ。
「遊んでる場合じゃない!」
「遊んでねぇよ!」
「だったらちゃんと戦え!」
「はいはい!」
レオンは肩をすくめ、小剣を見つめた。
「……難しいな。」
そのまま腰へ戻す。
やっぱり見よう見まねじゃ無理か。
そう呟くと、大剣を握り直した。
「よし。」
「今はこっちだ。」
再び二人は肩を並べる。
三人の虚無の使徒も静かに短剣を構え直した。
地下神殿へ、再び激しい剣戟が響き渡る。




