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バル  作者: 隣の猫
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アルミア



「アイラ!」


リシアの叫びが地下神殿へ響く。


レオンが吹き飛ばされて間もない。


連携は崩れた。


その隙を逃す相手ではなかった。


二人の虚無の使徒が同時に動く。


アイラは迷わず弓を引いた。


ヒュンッ!!


一本。


また一本。


狙うのは退路。


誘導。


しかし。


もう結果は分かっていた。


虚無の使徒は、一度もその道へ乗らない。


それでも撃つ。


今はリシアが少しでも動ければ、それでよかった。




「右!」


アイラが叫ぶ。


リシアは身体を捻る。


黒い短剣が頬を掠める。


そのまま受け流す。


キィィン!!


火花が散る。


次の瞬間には、もう一人。


さらにもう一人。


三方向。


「まだ!」


リシアは止める。


流す。


守る。


ただそれだけを繰り返す。




アイラは矢を番え続ける。


(リシア……。)


今はそれしかできない。


レオンがいない。


だから。


自分が援護し続けるしかない。


ヒュンッ!!


放つ。


虚無の使徒の肩をかすめる。


初めて。


ほんのわずかに軌道が変わった。


「今!」


リシアが踏み込む。


しかし。


その一瞬すら読まれていた。


三人目の虚無の使徒が間へ割り込む。


リシアはすぐ剣を返す。


「っ!」


受け切れない。


腕が沈む。




「リシア!」


アイラは反射的に最後の一本を放つ。


狙いは敵ではない。


黒い短剣。


カンッ!!


矢が弾かれる。


その音に虚無の使徒の視線が一瞬だけ逸れた。


リシアは後ろへ飛ぶ。


「ありがと!」


「まだ!」


二人は息を整える暇もなく構え直した。




その時だった。


アイラの正面にいた虚無の使徒が、


初めてアイラだけを見た。


静かな視線。


何の感情もない。


次の瞬間。


黒い影が消える。


「……!」


速い。


矢を番えるより早い。


「アイラ!」


リシアが走る。


間に合わない。


ドォォン!!


鋭い蹴りがアイラの腹へ突き刺さった。


「がっ……!」


息が止まる。


身体が宙へ浮く。


そのまま壁へ叩き付けられる。


バキィィン!!


石壁が砕ける。


砂が舞う。


アイラの身体は、そのまま上階へ吹き飛ばされた。




地下神殿へ静寂が落ちる。


リシアは一人。


三人の虚無の使徒は静かに剣を構え直す。


リシアも細身の剣を握り直した。


「……来なさい。」


小さく息を吐く。


もう。


守る仲間はここにはいない。


だから。

























今度は、自分一人で時間を稼ぐだけだった。

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