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バル  作者: 隣の猫
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228/400

ルシオン



ギィィィン!!


激しい剣戟が地下神殿へ響く。


レオンは大剣を振るい続ける。


止める。


繋ぐ。


それが自分の戦いだった。


「アイラ!」


「分かってる!」


ヒュンッ!!


一本の矢が虚無の使徒の退路を塞ぐ。


今までなら。


必ずその場所へ動いていた。


しかし。


虚無の使徒は矢を見ることもなく、


最短距離だけを選び、


レオンの剣を避けた。


「またか……!」


レオンが舌打ちする。


誘導が通じない。


連携そのものを読まれていた。




「リシア!」


今度はアイラが叫ぶ。


黒い影が真横へ現れる。


リシアは迷わず身体を滑らせた。


細身の剣が火花を散らす。


キィィン!!


「っ!」


受け止める。


しかし。


押し返せない。


腕が軋む。


その一瞬だけで十分だった。


二人目の虚無の使徒が、


レオンへ踏み込む。


「しまっ!」


ガギィィン!!


大剣と短剣。


激突。


右手一本。


また止められる。


「くそぉ!」


全身で押す。


床へ足が沈む。


それでも。


相手は笑うこともなく、


静かに左手の短剣を走らせた。


ギィン!!


レオンは辛うじて避ける。


だが。


頬へ一本の赤い線が走った。




「……。」


アイラは静かに息を呑む。


見えている。


全部。


なのに。


何も繋がらない。


自分が誘導しようとした場所へ、


敵は一歩も入らない。


「だったら!」


今度は逆を狙う。


あえて逃げ道を空ける。


虚無の使徒は。


そこすら使わなかった。


「嘘……。」


初めてだった。


自分の弓が。


完全に否定されたのは。




その時。


中央の虚無の使徒が、


再び仮面へ触れた。


ピシ……


亀裂が僅かに広がる。


黒い霧が滲む。


ズズ……


影だけが床を這う。


レオンは目を見開いた。


「また……!」


しかし。


霧は途中で止まる。


虚無の使徒は静かに眉をひそめた。


「制御……。」


その言葉は最後まで続かなかった。


黒い霧は霧散する。


何事もなかったように、


再び剣を構える。


リシアはその様子を見逃さなかった。


(今……。)


(使おうとした?)


だが考える暇はない。


三人目の虚無の使徒が、


今度はアイラへ一直線に迫っていた。


「アイラ!」


リシアが飛ぶ。


しかし。


間に合わない。


その瞬間。


レオンが大剣を横から叩き付けた。


ガギィィン!!


三本の刃がぶつかる。


地下神殿が大きく揺れた。


柱へ新たな亀裂が走る。


天井から石片が降り注ぐ。


虚無の使徒は静かに一歩だけ後ろへ下がる。


短剣二刀の虚無の使徒が、























今までよりもさらに深く腰を落とした。

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