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バル  作者: 隣の猫
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225/417

アルシオンス



ガギィィィン!!


三本の剣が同時に激突する。


地下神殿へ轟音が響いた。


レオンは真正面から虚無の使徒を迎え撃つ。


重い。


だが押し返さない。


剣をわずかに滑らせる。


黒い刃の軌道が逸れた。


「今だ!」


その一声だけで十分だった。


アイラの矢が一直線に走る。


一本。


二本。


三本。


狙うのは急所ではない。


敵が避ける場所。


その逃げ道を一本ずつ削り取っていく。


虚無の使徒は迷わず身を捻る。


その先には。


リシア。


細身の剣が静かに流れる。


敵の剣を受け流す。


力ではない。


ほんの一瞬だけ。


その身体を止める。


「レオン!」


リシアの声。


レオンは迷わない。


一歩。


踏み込む。


剣を振るう。


狙うのは足元。


動きを止めるための一撃。


カキィィン!!


虚無の使徒の足が止まる。


その刹那。


アイラの四本目が黒い仮面を掠めた。


仮面の端が小さく砕ける。


「入った!」


レオンの口元が緩む。


今まで積み重ねてきた戦い。


止める剣。


誘導する弓。


仲間へ時間を渡す剣。


その全てが噛み合っていた。


以前の虚無の使徒なら、


確実に届いていた連携だった。


「押し切るぞ!」


レオンがさらに前へ出る。


アイラも間髪入れず矢を放つ。


リシアも静かに間合いへ入る。


誰一人迷わない。


勝てる。


そう思えた。


しかし。


三人の虚無の使徒は、


初めてゆっくりと顔を上げた。


砕けた仮面の奥。


何も映さない瞳だけが、


静かにレオンたちを見つめる。


「……終わりましたか。」


その声は、


どこまでも穏やかだった。


レオンの背中へ、


言いようのない寒気が走る。


「何……?」


中央の虚無の使徒が、


静かに一歩前へ出る。


その歩みには焦りも怒りもない。


ただ、


何かを確かめ終えた者だけが持つ静けさがあった。


「理解しました。」


三人の虚無の使徒が、


同時に剣を構え直す。


その姿を見た瞬間、


レオンは本能で悟る。


(違う。)


(今までの戦いは……。)


(試されていただけだ。)


地下神殿の空気が、
























さらに重く沈んでいった。

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