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バル  作者: 隣の猫
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213/400

アディア



四人は同時に地を蹴った。


誰も指示を出さない。


誰も振り返らない。


それでも、


互いが次に何をするのか分かっていた。




最初に動いたのはレオンだった。


「行くぞぉぉぉっ!!」


大剣が唸る。


狙いは虚無の使徒ではない。


退路。


進路。


逃げ道。


すべてを塞ぐように大剣が振るわれる。


虚無の使徒は身体を流す。


その動きも、


もう予想の中だった。




「そこ。」


アイラが弦を離す。


一本。


二本。


三本。


矢は急所を狙わない。


逃げる場所へ突き刺さる。


虚無の使徒は避ける。


さらに避ける。


その動きは少しずつ狭められていく。


「まだ!」


アイラは迷わず次の矢を番えた。




「団長!」


リシアが叫ぶ。


黒い刃がガルドを狙う。


リシアは迷わず飛び込んだ。


細身の剣が火花を散らす。


キィィン!!


受け止める。


押し返す。


その一瞬だけで十分だった。


「今です!」


ガルドは踏み込む。


虚無の使徒は剣を合わせる。


しかし。


そこへ。




「まだ終わりじゃねぇ!」


レオンが横から大剣を叩き込む。


虚無の使徒は後ろへ跳ぶ。


その着地点へ。


ヒュンッ!!


アイラの矢。


「……!」


虚無の使徒はさらに身体を捻る。


だが。


そこには。


リシアがいた。


細身の剣が初めて虚無の使徒の肩を掠める。


黒い外套が裂けた。


「当たった!」


レオンが思わず叫ぶ。


初めてだった。


人外へ。


確かな一撃が届いた。




虚無の使徒は距離を取る。


黒い霧が激しく揺らぐ。


その姿勢は、わずかに乱れていた。


ガルドは静かに息を吐く。


「ここだ。」


短い一言。


それだけだった。


四人は同時に頷く。




レオンが正面から押し込む。


逃げる。


そこへアイラ。


さらに逃げる。


リシアが待つ。


防ぐ。


その瞬間。


ガルドが真正面から踏み込んだ。


キィィィン!!


激しい衝突。


虚無の使徒は受け止める。


だが。


今度は違う。


レオンが剣を押し込む。


アイラの矢が剣を弾く腕を狙う。


リシアが足元へ踏み込み、体勢を崩す。


四人の力が、


一つの流れになる。




ガルドは低く呟いた。


「これが。」


「灰鷹だ。」


その瞬間。


四人は同時に剣を振るった。


一閃。


二閃。


三閃。


四閃。


黒い霧が大きく弾ける。


虚無の使徒の仮面へ、


一本の亀裂が走った。


「……。」


初めて。


虚無の使徒が大きく膝をつく。


神殿が激しく震えた。


床へ新たな亀裂が走る。


だが。


四人は止まらない。


勝負は、


























もう目の前まで来ていた。

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