表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バル  作者: 隣の猫
PR
206/404

リグナ



神殿は揺れていた。


柱へ刻まれた亀裂はさらに広がり、


砕けた石片が絶え間なく降り注ぐ。


その中央では――


ガルドが虚無の使徒に押されていた。


レオンは、その姿を歯を食いしばりながら見つめる。


「団長……!」


助けに行きたい。


だが、その前には無数の魔物が立ちはだかっていた。




「どけぇぇぇ!!」


レオンの大剣が唸る。


豪快な一撃で数体の魔物を吹き飛ばす。


しかし、その隙間を埋めるように次の魔物が現れる。


「まだ来るのか!」


大剣を構え直す。


一歩も引かない。




「レオン!」


アイラの声が飛ぶ。


同時に二本の矢が放たれた。


レオンの死角へ回り込もうとした魔物の額を、


正確に射抜く。


「前だけ見て!」


「後ろは任せて!」


「助かる!」


レオンは迷わず前へ踏み込んだ。




その横では、


リシアが負傷した団員の肩を支えていた。


「傷は浅いです。」


「まだ戦えます。」


淡い光が傷口を包む。


完全には治らない。


それでも剣を握れるほどには回復する。


「ありがとうございます!」


団員は立ち上がり、


再び前線へ戻っていく。


ノアも小さな両手を伸ばし、


疲弊した団員へ回復魔法を掛け続けていた。




ガルドが再び押し込まれる。


キィィン!!


重い衝撃が神殿へ響く。


レオンは拳を握り締めた。


「くそっ!」


目の前の魔物さえいなければ。


その思いだけが募っていく。




「レオン!」


アイラが叫ぶ。


「前!」


振り向く。


大型の魔物が牙を剥き飛び掛かってきた。


レオンは身体を捻る。


紙一重で避ける。


その勢いを利用し、


大剣を真横へ振り抜いた。


魔物が壁へ叩き付けられる。


壁石が砕け、


神殿がさらに大きく震えた。




「このままじゃ近付けない。」


アイラが静かに言う。


レオンも頷いた。


真正面から押し切るには数が多すぎる。


その時だった。


リシアが静かに周囲を見渡す。


「……全部倒す必要はありません。」


二人が振り向く。


「道を作ればいいんです。」


その一言だった。




レオンは小さく笑う。


「そういうことか。」


大剣を肩へ担ぐ。


「団長のところまで一直線だ!」


アイラも頷いた。


「私が道を開きます。」


矢を番える。


狙うのは魔物ではない。


魔物の群れのわずかな隙間。


一本。


二本。


三本。


矢が着弾するたび、


魔物たちの動きが乱れる。


そこへレオンが飛び込んだ。


「どけぇ!!」


大剣が横薙ぎに唸る。


押し返す。


倒す。


ではない。


切り開く。


そのためだけの一撃だった。




「今です!」


リシアが団員たちへ声を掛ける。


「私たちが前へ出ます!」


灰鷹の団員たちは互いに頷き合う。


「任せろ!」


「ここは俺たちが抑える!」


「団長を!」


一斉に前へ出る。


魔物の群れを食い止める。


その間に、


レオン。


アイラ。


リシア。


三人は一直線に駆け出した。




その先では、


なおガルドが虚無の使徒と剣を交えている。


黒い霧。


鋭い剣閃。


一瞬たりとも気の抜けない人外の戦い。


レオンは大剣を強く握り締めた。


「待っててください。」


「団長。」


三人はついに、



















ガルドの戦う場所へ辿り着こうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ