表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バル  作者: 隣の猫
PR
200/424

アスディル



夜風が黒い大地を吹き抜ける。


灰鷹は歩みを止めることなく、巨大な黒い山を目指していた。


遠くから見上げた時には大きいと思っていた。


だが。


近づくたび、その認識は甘かったと思い知らされる。


山は、まるで空そのものを支えているかのようだった。


「でかいな……。」


レオンが思わず呟く。


ガルドも静かに山を見上げる。


「……。」


言葉はなかった。




山肌は黒い岩だけでできていた。


草一本生えていない。


風が吹くたび、岩肌の隙間から低いうなり声のような音が響く。


「生きてるみたい……。」


ノアは小さく呟いた。


灰猫がゆっくりと片目を開ける。


「長い年月、この地を見続けてきた山じゃ。」


「そう思えても不思議ではないの。」


ノアは静かに頷いた。




黄金の羽は迷うことなく山の麓へ向かって飛んでいく。


やがて、その輝きが止まった。


「着いた。」


ベスが静かに呟く。


目の前には切り立った黒い岩壁。


しかし。


その中央だけが、不自然なほど滑らかだった。


アイラが近づき、岩肌へ触れる。


「これは……。」


「自然の岩じゃありません。」


「削られています。」


レオンが周囲を照らす。


月明かりの中、


巨大な岩壁だったものが少しずつ姿を現していく。


それは。


山そのものではなかった。


巨大な門。


黒い岩で造られた、山と一体化した石門だった。


左右には風化した二体の神像。


長い年月を経てもなお、その威厳だけは失われていない。


「これが……。」


リシアは息を呑む。


「神殿の入口。」


黄金の羽はゆっくりと門の前へ舞い降りる。


そして役目を終えたように、静かにベスの手の中へ戻った。


ベスは門を見上げる。


巨大な扉は固く閉ざされている。


その奥からは、何の気配も感じられない。


静かすぎる。


だからこそ、不気味だった。


ガルドは剣の柄へ手を添える。


「全員。」


「ここから先は、一瞬の油断が命取りになる。」


灰鷹の全員が静かに頷く。


ベスはゆっくりと門の前へ立った。


そして。
























巨大な石門へ、そっと右手を触れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ