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バル  作者: 隣の猫
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ソニア



静寂が戻る。


魔物も。


虚無の使徒も去り、


遺跡には風の音だけが流れていた。


黄金の鷹はゆっくりと遺跡へ歩み寄る。


その翼が淡く光り始めた。


遺跡を囲む石柱が一つ、また一つと共鳴する。


低く響く音。


石畳へ刻まれた紋様が黄金色に輝き始める。


「封印を……。」


アイラが息を呑む。


黄金の鷹は静かに頷いた。


「再び眠りなさい。」


その一言とともに光は遺跡全体を包み込んだ。


やがて光はゆっくりと収まり、


遺跡は再び静かな眠りへ戻る。




黄金の鷹は小さく息を吐いた。


その身体は先ほどよりも少しだけ疲れて見える。


ベスが歩み寄る。


「助かりました。」


黄金の鷹は首を横へ振った。


「礼を言うのはこちらです。」


「皆さんが時間を稼いでくださらなければ、封印は間に合いませんでした。」




ベスは真っ直ぐ尋ねる。


「一緒に来てくれませんか。」


黄金の鷹は静かに微笑む。


「行きたい。」


「ですが、それはできません。」


視線を木陰へ向ける。


そこには黄金の雄の鷹が静かに横たわっていた。


傷は深い。


呼吸はしている。


だが、まだ目を覚ます気配はない。


「主人は私を守り、深手を負いました。」


「今は私が支えなければなりません。」


さらに遺跡へ目を向ける。


「そして、この封印を維持する者も必要です。」


「ここを離れるわけにはいきません。」




リシアが静かに尋ねた。


「では……私たちは。」


黄金の鷹はベスを見る。


「神殿へ向かってください。」


「神殿はすでに虚無の使徒に占拠されています。」


ガルドが腕を組む。


「行くぞ。」


迷いはなかった。




黄金の鷹は翼を大きく広げる。


一枚の黄金の羽が風へ舞った。


羽はゆっくりとベスの前へ降り立つ。


「その羽は神殿への道標です。」


「迷えば羽が導いてくれるでしょう。」


ベスは羽を大切に胸元へしまう。


「必ず戻ります。」


黄金の鷹は優しく微笑んだ。




そして。


木陰で眠る雄の鷹を見つめ、


小さく呟く。


「どうか……。」


「我が子を、お願いします。」


ベスはその言葉の意味を尋ねなかった。


ただ静かに頷く。


「ああ。」


「必ず。」


黄金の鷹も、それ以上は語らない。


風が吹く。


黄金の羽が陽光を受けて静かに揺れた。


灰鷹は新たな決意を胸に、


神殿への道を歩き始める。
























第四の大陸、その最後の戦いが始まろうとしていた。

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